食品製造業で使える!特定技能向け補助金・助成金の制度一覧と注意点
特定技能(飲食料品製造)で外国人を雇用する企業向けの「特定技能外国人材を採用しただけで自動的にもらえる補助金・助成金」は存在しません。※2026年1月現在
国の制度では特定技能1号のような短期在留資格者に対し、恒常的な直接給付を行う仕組みを現時点では設けていません。
しかし、厚生労働省や各自治体が実施する「外国人雇用全般」や「人材育成」「就労環境整備」を目的とした次のような制度は、特定技能外国人であっても使える場合があります。
特定技能向け補助金・助成金制度一覧
| 制度名 | 対象内容 | 活用ポイント |
|---|---|---|
| 人材開発支援助成金(人材育成支援コース) | 雇用保険加入者への職務関連研修 | HACCP研修やライン操作訓練に活用可能 |
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備コース) | 多言語マニュアル・相談窓口整備など | 定着支援・現場安定化に効果的 |
| 自治体の特定技能受入支援補助 | 特定技能外国人の新規雇用企業 | 渡航費・紹介料・生活支援費など補助 |
| 外国人材受入総合支援事業(農林水産省) | 食品製造分野での制度運営支援 | 業界団体・支援機関が申請主体、公募型 |
この記事では、特定技能外国人を雇用する食品製造業が実際に活用できる補助金・助成金制度の全体像と注意点についてご紹介します。
【関連記事】特定技能「飲食料品製造業」とは?対象工場・対象業務をわかりやすく解説
「食品工場×特定技能」で使える助成金はある?知っておくべき助成金の内容
2026年1月現在、「特定技能(飲食料品製造)」に限定した恒常的な国の助成金制度は存在していません。
一部、農林水産省などが実施する「飲食料品製造業・外食業分野における外国人材受入総合支援事業」など、年度ごとの公募型支援(例:試験実施支援、環境整備支援)はあります。
ただし、個別の食品工場が「外国人1人雇用につき○円」など直接的に給付されるタイプの補助金は基本的にありません。
厚生労働省が管轄する「外国人労働者就労環境整備助成」や「人材開発支援助成金」など、外国人雇用全般に対応した助成制度は、特定技能の外国人を雇用する食品工場でも活用可能です。
「食品工場×特定技能」で使える助成金について
特定技能(飲食料品製造)に対する「雇用すれば自動で支給される」ような恒常的な直接給付は限られます。
しかし、農林水産省・厚生労働省・地方自治体などが所管する複数の補助制度は、食品工場が特定技能外国人を受け入れる際に必要となる初期コストの負担軽減に活用可能です。
例えば、受入体制の整備(マニュアル・相談窓口)、職業訓練(HACCPや衛生教育)、渡航・定着支援費用などを目的とした助成が、条件次第で横断的に利用できます。
「食品工場×特定技能」で使える助成金一覧表
| 助成制度名 | 対象内容 | 助成対象経費 |
|---|---|---|
| 外国人材受入総合支援事業(飲食料品製造分野・外食分野) | 特定技能外国人を受け入れる食品工場・外食産業 | 試験実施・体制整備・支援ツール整備費 |
| 特定技能受入支援補助(自治体) | 特定技能外国人の新規雇用企業 | 渡航費・紹介料・生活支援費など |
| 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース) | 外国人労働者(特定技能含む)の受入環境整備 | 多言語マニュアル、相談窓口、日本語支援費用など |
| 人材開発支援助成金(人材育成支援コース) | 外国人を含む従業員の職業訓練 | 研修費・訓練中の賃金補助 |
食品工場が特定技能(飲食料品製造)の外国人材を受け入れる際、国や自治体の各種助成金を組み合わせて活用することで「採用準備」「受入体制整備」「職業訓練」「定着支援」にかかる初期コストや運用コストを公費で軽減することが可能です。
(1) 最も“直接的”なのは農水省の基盤整備支援
農林水産省の「外国人材受入総合支援事業」は、飲食料品製造業分野および外食業分野において、特定技能外国人の安定的な受入れと制度の円滑な運用を支援するための基盤整備を目的とした補助事業です。
補助対象には、分野別試験の実施支援、相談窓口の設置、多言語マニュアルの整備、優良事例の普及活動などが含まれます。
支援対象が「飲食料品製造業・外食業」かつ「特定技能1号の在留資格を持つ外国人材」に限定されているため、特定技能外国人を受け入れる食品工場にとっては、分野・制度の両面で合致する“最も直接的な”支援制度と位置づけられます。
ただし、この事業は個別企業が単独で申請して直接的な金銭給付を受けられる制度ではなく、業界団体や登録支援機関などが主体となり、広域的な受入体制の整備を行うための公募型支援である点に注意が必要です。
(2) 自治体補助は“初期コスト軽減”に直結
一部の自治体では、特定技能外国人を初めて雇用する中小企業や食品工場などに対し、外国人本人の渡航費、登録支援機関への紹介料、入社後の生活立ち上げに必要な住宅初期費用や生活支援費などを補助する制度を設けています。
この補助により企業側が初期採用時に負担するコスト(数十万円規模)の一部が公費でカバーされるため、外国人材の導入に対する資金的な障壁を下げる効果が期待できます。
特に、初めて特定技能制度を導入する企業にとっては、試験的な受け入れをしやすくなる点がメリットです。
ただし、制度の有無や条件は自治体ごとに大きく異なり、年度ごとの予算制限や先着順で受付が終了するケースも多いため、採用前に必ず自社が所在する都道府県・市区町村の公式情報を確認するようにしてください。
(3) 厚労省の環境整備助成は“定着率向上”に効果大
「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」は、特定技能外国人を含む外国人労働者の職場適応を支える体制整備を目的とした助成金です。
具体的には、多言語対応の就業規則・業務マニュアルの作成、外国人向けの労務相談窓口の設置、日本語教育プログラムの導入などにかかる費用が補助対象となります。
(4) 人材育成助成は“教育コストの圧縮”に有効
「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)」では、特定技能外国人を含む従業員に対する職業訓練(例:HACCP、衛生管理、ラインオペレーション等)にかかる外部講師への研修委託費や、訓練中に支払う賃金の一部を国が補助します。
この助成金は言語や業務知識にギャップがある外国人材を、入社後すぐに体系的に教育し、現場で即戦力として機能させるための実用的な支援制度です。
ただし「どのような訓練を、いつ、どの講師が、誰に行うか」を明記した訓練計画書を作成し、所轄の労働局に対して、訓練開始日の1か月以上前までに届け出ることが義務付けられています。
そのため雇用スケジュールと助成スケジュールを並行管理し、着任時期に間に合うように準備することが重要です。訓練内容・実施形式によっては対象外になるケースもあるためご注意ください。
【食品製造業】キャリアアップ助成金は「特定技能1号」には基本的に使えません!
食品製造業で特定技能1号の外国人を雇用しても、「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」は原則使えません。
厚生労働省の制度上、技能実習生や特定技能1号の在留資格者は、最長5年・帰国前提の就労であるため、「長期就労を促進する」という制度趣旨と一致しないからです。
一方、在留期間に上限がなく更新可能な「特定技能2号」や、永住者・定住者・日本人配偶者などの外国人については、雇用保険の適用や有期→正社員化などの要件を満たすことで、日本人と同様にキャリアアップ助成金を利用できます。
人材開発支援助成金は特定技能外国人材の食品製造業の教育訓練に活用可能?
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)は、特定技能外国人を含む食品製造業の従業員に対して実施する職業訓練にも問題なく活用できる制度です。
この助成金は、「雇用保険に加入している労働者」であれば国籍や在留資格を問わず対象となり、HACCP対応の衛生管理、異物混入防止、ライン操作や品質検査などの実務訓練にかかる講師への謝金や訓練中の賃金を最大75%程度の助成率が設定されているコースもあります。
訓練形式はOFF-JT(集合研修・eラーニング)とOJT(現場指導)の併用も可能で、教育コストを抑えつつ、特定技能人材の即戦力化を目指せます。
特定技能外国人材の研修も対象に!日本語教育の場合は対象外?
特定技能外国人への研修も、人材開発支援助成金(人材育成支援コース)の対象となる場合がありますが「日常生活に必要な日本語教育」と「業務遂行に必要な職業訓練」は、制度の目的に基づいて明確に区別されています。
これは助成金が「企業による労働者の職業能力向上」を目的としているためであり、私生活支援を目的とした教育は対象外とされているからです。
助成金の主な要件は、以下の通りです。
- 対象者が雇用保険の被保険者であること
- 訓練内容が職務に関連していること
- 所定時間(OFF-JTで10時間以上など)を満たしていること
- 実施内容・時間・対象者を記載した訓練計画書を事前に届け出ること
例えばHACCP対応、作業手順の理解、安全指示の伝達などに必要な「専門用語を含む日本語教育」は、「職務に関連する訓練」として助成対象になり得ます。
一方で、日本の生活で使う日本語の習得や日常の買い物・行政手続きなど、私生活をサポートする目的の日本語研修は、制度の趣旨と異なるため助成対象外です。
日本語教育と職業訓練の違い比較表
| 項目 | 日本語教育(生活目的) | 職業訓練(業務目的) |
|---|---|---|
| 対象 | 雇用保険加入者でも対象外 | 雇用保険加入の従業員 |
| 内容 | 買い物・病院など日常会話 | 業務指示、専門用語、安全対応など |
| 助成対象か | 原則対象外 | 助成対象になり得る |
| 実施目的 | 私生活の支援 | 就業パフォーマンス向上 |
| 例 | アルバイト向け生活会話講座 | 製造現場の操作手順+専門日本語研修 |
| 注意点 | 趣旨が私生活寄りだとNG | 職務との関連性を訓練計画に明記する |
人材開発支援助成金では、特定技能外国人への研修も対象になり得ますが、「助成の目的はあくまで職業能力の向上」であるため、生活支援を目的とした日本語教育は先の表のように対象外です。
買い物や日常会話を学ぶ講座は助成の趣旨に反するため助成金の対象外になります。その一方で、HACCP対応や作業指示理解など業務遂行に必要な専門的な日本語の習得という条件であれば「職務関連の訓練」として助成対象になり得ます。
食品工場の研修費を公費でカバー!人材開発支援助成金の活用例
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)は、食品工場で必須となる衛生・品質・安全・ライン操作などの研修に非常に相性がよい助成制度として次のように活用が可能です。
- HACCPや衛生教育をeラーニングで内製化し、受講履歴を残して助成申請することで、教育コストを大幅に削減できる。
- ライン作業の手順やトラブル対応を、動画+現場OJTで段階的に教育し、訓練時間を助成対象として申請できる。
- 品質検査や記録記入ルールを新人向けに座学で統一教育し、教材・講師費を補助対象にすることで標準化とコスト削減を両立できる。
- 安全衛生研修を、日本人社員と特定技能外国人が一緒に受ける形式で実施し、訓練の一体設計によって説明負担を軽減できる。
- 外部研修や講師派遣にかかる費用だけでなく、訓練中に支払う時給や日当の一部も助成され、教育期間中の人件費負担を軽くできる。
上記のように、「eラーニングでのHACCP教育」「ライン作業のOJT+OFF-JT」「品質検査の座学」「安全衛生の合同研修」などの形式で、講師謝金・教材費・訓練中賃金が人材開発支援助成金の対象となります。
そのため、食品製造業の新人研修や特定技能外国人向けの現場教育で日常的に実施されているスキル訓練(衛生管理・操作手順・安全対応・記録管理など)を、制度の支援枠内で効率的に運用できる点が大きなメリットです。
直接的な補助金はありません!しかし、使える補助金や助成金はある
特定技能「飲食料品製造」を採用する食品工場にとって最も重要なのは「特定技能外国人を雇用すれば自動的にお金がもらえる助成金は存在しない」という前提を正しく理解したうえで、現状で使える各種の制度を組み合わせるという視点を持つことです。
実際のところ、特定技能に特化した恒常的かつ直接給付型の助成金は存在しておらず、活用可能なのは厚生労働省や自治体が所管する「外国人雇用全般」を対象とした汎用的な制度が中心となります。
そのため、特定技能外国人材の採用・教育・定着といった各フェーズにおいて、どの制度がどの工程に使えるのかを整理し、自社の課題やコスト構造に応じた助成金の組み合わせ戦略を立てることが重要です。
また食品工場での特定技能採用について「自社で助成金が使えるのか」「どこに注意すべきかを詳しく知りたい」とお考えであれば、まずは制度に精通したミャンマー・ユニティのような、特定技能支援の専門家へ早めに相談することをおすすめします。
ミャンマー・ユニティでは、特定技能「飲食料品製造業」における受け入れ前の設計から、受け入れ後の運用・定着までを含めた無料相談を行っています。
ぜひこの機会に、外国人雇用と助成金活用の基礎を正しく理解するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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