特定技能介護|特定技能評価試験合格が必須。勉強方法は?

特定技能介護で働く外国人は3種類の試験合格が必要です。(介護技能評価試験・介護日本語評価試験・「日本語能力試験N4以上」か「国際交流基金日本語基礎テスト」のどちらか1つ) 人手不足に悩む介護事業者の皆さまにおいては、介護特定技能制度の活用を検討されている方も多いことと思われます。本記事では合格が必要な試験の概要から勉強方法までわかりやすくご説明します。

特定技能介護|特定技能評価試験合格が必須。勉強方法は?

人手不足に悩む介護事業者の皆さまにおいては、介護特定技能制度の活用を検討されている方も多いことと思われます。 しかし制度を利用するためには、外国人本人が各種試験を合格することが必要です。試験と聞くと、ハードルが高いのではと不安になるかもしれません。 本記事では試験の概要から勉強方法までわかりやすくご説明します。外国人の方々が実際に何を使って勉強し、どのような問題を解くのか。また、よい勉強方法はあるのか。 事前にお知りになることで、特定技能外国人を採用する際の相互理解にもつながります。

ご覧いただいた後は試験に対して明確なイメージがつかめる内容になっていますので、ぜひご一読ください。

目次

  1. 介護特定技能外国人に必要な試験とは?
  2. どんな問題が出るのか?試験概要について
    1. 介護技能評価試験
    2. 介護日本語評価試験
  3. 合格するためには?使用するテキストと勉強方法
    1. 試験対応の無料テキスト
    2. 外国人向け学習サイト
  4. 実際の合格率はどのくらいか?
  5.         
  6. 試験はいつ、どこで実施されているのか?
  7. まとめ

1. 特定技能介護外国人に必要な試験とは?

そもそも外国人が特定技能制度の求人対象として登録されるためには、外国人本人が試験に合格する必要があります。 留学生など、既に日本国内に在留している場合は日本で受験ができます。しかし在留資格を有していない多くの場合、母国での受験となります。 特定技能1号外国人に認定されるために合格が必要となる試験は以下の通りです。

・技能試験 介護技能評価試験

・日本語試験 (1)介護日本語評価試験 (2)「国際交流基金日本語基礎テスト」「日本語能力試験N4以上」のどちらかひとつ

以上、あわせて3種類の試験での合格が求められています。

出入国在留管理庁作成の試験方針によれば、特定技能制度における技能水準は「特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる」こととされています。

特定技能外国人は、技能実習3年修了と同等の技能と認められ即戦力として働くことになります。そのため、上記の試験合格で技能があることを証明しなくてはなりません。

また気をつけていただきたい点として、日本語試験は2種類合格しなければなりません。日本語能力に求められる水準は「ある程度日常会話ができ、 生活に支障がない程度の能力」および「介護現場で働く上で必要な能力」であり、それぞれの能力を確認するための試験です。

なお、「国際交流基金日本語基礎テスト」「日本語能力試験N4以上」に関しては各試験案内サイトにてサポートが整っているので、 本記事では介護技能評価試験と介護日本語評価試験に絞って紹介していきます。

次項からは、2つの試験の内容や出題形式について詳細を説明していきます。

2. どんな問題が出るのか?試験概要について

まず、合格が必要な試験についての概要は次の通りです。

2-1 介護技能評価試験

  
試験言語 試験実施国の現地語になります
実施時期 原則毎月実施
受験資格 17歳以上(インドネシア国籍の方は18歳以上)
受験料 1,000円程度
試験水準 介護業務の基盤となる能力や考え方等に基づき、利用者の心身の状況に応じた介護を自ら一定程度実践できる
試験時間 60分
問題数 全45問 学科試験40問
・介護の基本(10問)
・こころとからだのしくみ(6問)
・コミュニケーション技術(4問)
・生活支援技術(20問)
実技試験5問 
・判断等試験等の形式による実技試験課題を出題
合格基準 総得点の60%以上

概要だけ読むと難しく感じるかもしれません。以下は特定技能介護技能評価試験の試験問題として実際に公表されている例題になるので、試験の雰囲気や試験内容が伝わることと思います。

例題:左片麻痺がある人の上衣の着脱介助に関する次の記述のうち、適切なものを一つ選びなさい。

1 ボタンのある服は避ける 2 着るときは、左腕を先にとおす 3 脱ぐときは、左腕から先に脱ぐ 4 全介助する

正答:2 ※実際は現地言語にて出題されます。

2-2 介護日本語評価試験

  
実施時期 原則毎月実施
受験資格 17歳以上(インドネシア国籍の方は18歳以上)
受験料 1,000円程度
試験水準 介護現場で介護業務に従事する上で支障のない程度の水準
試験時間 30分
問題数 全15問
・介護のことば(5問)
・介護の会話・声かけ(5問)
・介護の文書(5問)
合格基準 総得点の60%以上

介護日本語評価試験には次のような問題が出題されます。

例題:介護のことば Which word has the same meaning as _____? Choose the best answer from 1 to 4. ___ の ことばと だいたい おなじ いみのものは どれですか。 いちばん いいものを 1・2・3・4から ひとつ えらんで ください。

タンさん、この箱(はこ)を更衣室(こういしつ)に持(も)って行(い)ってください。

1 着替(きが)えをするところ 2 会議(かいぎ)をするところ 3 食事(しょくじ)をするところ 4 運動(うんどう)をするところ

正答(せいとう):1

いかがでしょうか。 試験勉強についてはもちろん行う必要がありますが、きちんと勉強すれば独学で対応できるレベルになっています。 次項では実際に試験勉強で使用するテキストと試験対策方法、勉強方法についてご紹介します。

3. 合格するためには?使用するテキストと勉強方法

3-1 試験対応の無料テキスト

厚生労働省のWebサイト上には、介護技能評価試験・介護日本語評価試験に対応する学習用テキストが無料で公開されています。 現在用意されているテキストは以下の通りです。

・「介護の特定技能評価試験学習用テキスト」 ・「外国人のための介護福祉専門用語集」 ・「外国人のための介護福祉士国家試験一問一答」 掲載URL:厚生労働省 介護分野における特定技能外国人の受入れについて

非常によくできているので、ぜひ一度目を通していただきたいです。 レイアウトがみやすいことはもちろん、イラストが多用されており初学者にもわかりやすくできています。 それぞれ英語・クメール語・インドネシア語・ネパール語・モンゴル語・ビルマ語・ベトナム語・中国語・タイ語版が公開されています。

テキストを繰り返し読む・解くことで、独学でも十分に合格することが可能だと思われます。

2-2 外国人向け学習サイト

また、日本の介護を学ぶ外国人向け学習サイトを利用することも効果的です。 公益社団法人日本介護福祉士会が提供する学習プラットフォーム「にほんごをまなぼう」 では、 気軽に日本語および日本の介護を勉強することができます。

先述のテキスト巻末にあるQRコードからもログインが可能です。

メールアドレスがあればどなたでも、無料で利用できます。日本語学習のための小テストやドリルを受けられるほか、 介護について学ぶためのWebコンテンツも用意されています。

いきなりテキストを読むことより手を出しやすく、また忙しい中でも効率よく勉強できます。外国人の方が来日された後も、 スキルアップに活用できると思います。

4. 実際の合格率はどのくらいか?

さて、出題される問題や勉強方法はご理解いただけたと思いますが、試験自体の合格率が気になるところです。合格基準は総得点の60%以上とされていますが、具体的にどれだけの方が合格しているのでしょうか。

各回の試験結果についても厚生労働省が公表しています。 例えば、2021年5月にフィリピンで行われた試験の結果をみてみると次の通りです。

2021年5月実施(フィリピン)

  
介護技能評価試験 合格率66.1% (245人中162人合格)
介護日本語評価試験 合格率70.3% (195人中137人合格)

他の実施国、開催月をみても両試験の合格率はおおむね60〜80%台を推移しているようです。 また、多くの回において、日本語評価試験と比較し技能評価試験の合格率が低くなっています。 もし受験される方にアドバイスを送るとすれば、特に技能評価試験に注力するようお伝えできればよいでしょう。

5.試験はいつ、どこで実施されているのか?

国外試験

現在はカンボジア、インドネシア、モンゴル、ネパール、フィリピン、タイ、スリランカ、インド、ウズベキスタンで介護技能評価試験と介護日本語評価試験は実施されています。
過去にはミャンマーでも実施されました。
詳しいスケジュールはこちらをご確認ください。

国内試験

47都道府県で介護技能評価試験と介護日本語評価試験は実施されています。
試験会場と試験日程はこちらから検索いただけます。

試験結果は試験後1か月以内に予約サイトのマイページから結果が確認できます。

6. まとめ

本記事では介護特定技能制度を利用するにあたり、外国人の方々が合格しなければならない試験について説明しました。 試験合格へ向けたポイントは次のとおりです。

・対象となる試験は技能試験1種類+日本語試験2種類の計3種類 ・試験合格の水準は「直ちに日本語で一定の業務を遂行できる」 ・無料テキストと学習サイトで効率よく勉強が可能 ・介護技能評価試験と介護日本語評価試験の合格率は60〜80%程度

合格率70%前後の資格といえば、ちょうど近年の介護福祉士国家試験と同程度です。来日された後、国家資格をとることを目標とされる外国人の方も多いと思われます。 本記事で紹介した試験を通過することができれば、国家資格取得への足がかりにもなるはずです。

また、介護事業者の皆さまにとっては試験合格からが大変になるといえます。採用した後、きちんとした支援体制を整備することが求められるため、ぜひ受入れの準備も進めておきましょう。

事業者の皆さまと外国人の方々、双方にとってよい結果となることを願っております。 最後までご覧いただき誠にありがとうございました。

出典
厚生労働省 介護分野における特定技能外国人の受入れについて
法務省・厚生労働省 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領
厚生労働省 【介護分野】技能試験及び日本語試験(概要)
厚生労働省 介護技能評価試験サンプル問題
厚生労働省 介護日本語評価試験サンプル問題
(公社)日本介護福祉士会 にほんごをまなぼう

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