介護技能実習生も慰労金の対象になる?
新型コロナウイルス感染症対策における慰労金は介護技能実習生にも給付されるの?給付対象や条件、申請方法などを教えます。実習生も慰労金給付の趣旨をきちんと理解することが大切です。
目次
新型コロナウイルス感染症対策で医療従事者や介護施設で働く方に対して国から慰労金が給付されます。介護現場で働く介護技能実習生も条件を満たしていれば支給対象です。
慰労金対象者の条件
慰労金の支給対象者は幅広いです。資格や職種、雇用形態などの限定はなく、委託職員も一定の要件を満たせば交付対象になります。
対象サービス
下記サービスの事業所・施設で「患者さん・利用者さんに接する業務」に就いている方全員が対象です。
- 訪問系サービス事業所
- 通所系サービス事業所
- 短期入所系サービス事業所
- 多機能型サービス事業所
- 介護施設等
訪問介護、訪問入浴介護、訪問看護、訪問リハビリテーション、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護、居宅介護支援、福祉用具貸与、居宅療養管理指導
通所介護、地域密着型通所介護、療養通所介護、認知症対応型通所介護、通所リハビリテーション
短期入所生活介護、短期入所療養介護
小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護
介護老人福祉施設、地域密着型介護老人福祉施設、介護老人保健施設、介護医療院、介護療養型医療施設、認知症対応型共同生活介護事業所、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅
勤務日数と時間
- 対象期間に介護サービスの施設や事業所で通算10日以上勤務して利用者と接していた
- 1日当たりの勤務時間が問われない
- 複数の事業所等で勤務された方は合算して計算される
該当する雇用形態
雇用形態は不問です。
介護施設等の事務職員の方であっても、現場で働いている場合は、利用者と接する機会があるということで、給付対象となっています。
派遣労働者や業務受託者も上記の対象期間中の勤務日数の条件を満たせば対象に含まれます。
介護技能実習生も対象
上記の条件に当てはまれば、介護技能実習生も給付対象となります。
なぜこの慰労金が給付されるのかを介護技能実習生に伝えることが重要です。受け入れ事業者様には介護技能実習生への説明等のサポートをお願いします。
対象外になる人
法人の本部などで、利用者と直接接しないオフィスワークの人は、給付対象外となっています。
対象となる期間
当該都道府県における新型コロナウイルス感染症患者1例目発生日又は受入日のいずれか早い日(岩手県は、緊急事態宣言の対象地域とされた4/16から6/30までの間)
慰労金給付回数
複数の介護施設や事業所で働いていても、重複して受け取ることはできません。
慰労金は非課税
給付される慰労金は非課税です。そのため、税金や社会保険料が控除されませんので20万円であれば20万円がそのまま振り込まれます。
「利用者と接する」とはどこまで含まれるの?
利用者との接触とは、身体的接触に限られるものではなく、対面する、会話する、同じ空間で作業する場合も含まれます。利用者がいる建物から離れた別の建物に勤務し、物理的に利用者に会う可能性が全く無いような場合は対象となりません。なお、最終的な判断は都道府県が行うこととなりますが、一義的には各事業者で判断いただくことになります。
(厚労省パンフレットより引用https://www.mhlw.go.jp/content/000652458.pdf)
20万・5万の条件
都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務し、患者と接する医療従事者や職員
→「実際に、新型コロナウイルス感染症患者に診療等を行った医療機関等」である場合:20万円
→上記以外の場合:5万円
その他病院、診療所、訪問看護ステーション、助産所に勤務し患者と接する医療従事者や職員:5万円
患者については症状が出た日、濃厚接触者については感染者と接触した日
慰労金申請方法
原則、医療機関・介護施設が対象となるスタッフを特定して委任状を集め、まとめて都道府県に代理申請するという仕組みです。実際の申請方法は都道府県ごとに異なる場合がありますので、該当の都道府県の手続きを照会してご確認ください。
職員:勤務先に代理受領委任状を提出
現在、慰労金給付対象の介護施設等に従事している人は、原則として、給付を受ける職員本人が勤務先の介護サービス事業所・施設等に「代理受領委任状(様式4)」を提出します。
この委任状は、都道府県への提出は不要です。ただし、介護施設等が慰労金の代理受領を証するものとして、都道府県からの求めがあった場合に速やかに提出できるよう、法人本部又は介護サービス事業所・施設等において、適切に保管しなければなりません。
施設:都道府県へ給付申請
委任を受けた介護事業所・施設等は、代理受領の委任を行った職員について、「慰労金受給職員表(様式3)」を取りまとめ、「申請書」「事業所・施設別申請額一覧(様式1)」「事業実施計画書(様式2)」とともに各都道府県の国民健康保険団体連合会(以下、国保連)に給付申請を行います。
なお、介護サービス事業所・施設等のうち、介護報酬を請求可能な事業所・施設等においては、申請書等に必要事項を記載の上、原則として、各都道府県の国保連への申請となります。複数の都道府県に事業所を有する法人の場合は、都道府県単位でとりまとめを行い、重複がないよう申請が必要です。
申請書の提出方法
主な申請方法は以下になります。申請にあたっては、介護サービス事業所等の申請マニュアルをよくご確認ください。厚生労働省のホームページに、標準的な申請書等のモデル例が掲載されていますが、都道府県ごとに異なりますのでご注意ください。
①電子請求受付システムでの請求
「電子請求受付システム」に、介護報酬請求で使用している ID・パスワードによりログインし、本事業の申請画面にアクセスしていただき、提出用のファイルをアップロードします。
なお、電子媒体・紙による介護報酬請求を行っている事業所・施設等や、ユーザID、パスワードを失念した事業所・施設についても、「ID、仮パスワード」を発行することによりインターネット申請が可能となります。
詳細は国保連までお問い合わせください。
②電子媒体(CD-R等)での申請
各都道府県の申請方法をご確認ください。
③紙媒体での申請
各都道府県の申請方法をご確認ください。
慰労金 支給・支払いされた後の対応
慰労金は都道府県が申請を受理した後、1~2か月を目途に介護施設等に交付される見込みです。
職員への慰労金の支給
慰労金が支給されたら、施設や事業所が職員へ給付します。なお、介護サービス事業所・施設等が介護従事者等に支給する際の振込手数料は、別途国庫補助の対象となります。
精算手続き(概算額で申請の場合)・証拠書類の保管
事業所・施設等は、助成金の執行や慰労金の職員への給付が終わったのち、都道府県に対し実績報告書を提出します。
なお、支出内容を証明する書類(領収書、振込記録等)は、都道府県から求めがあった場合には速やかに提出することを前提として、法人本部や各事業所において適切に保管することとし、都道府県への提出を要しません。
また、 助成金等に係る収入及び支出内容に関する証拠書類は、交付決定日の属する年度の終了後5年間は保管が必要です。会計検査等の際、証拠書類の原本が確認できない場合は、助成金等の返還を求められる場合がありますので、不備のないよう証拠書類を保管する必要があります。
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