日本は未曽有の人材不足|理由と対策を徹底解説

日本は現在、未曾有の人材不足に陥っています。厚生労働省の調査によると、多くの企業が人手不足を感じています。 この記事では、日本の人材不足の理由と、その対策について徹底解説します。

日本は未曽有の人材不足|理由と対策を徹底解説

日本は現在、未曾有の人材不足に陥っています。
厚生労働省の調査によると、多くの企業が人材不足を感じています。
具体的には、「既存事業の運営への支障」「技術・ノウハウの伝承の困難化」などの影響が懸念されています。
人材不足は職場環境の悪化を招き、企業に悪循環をもたらすでしょう。
今回は、日本の人材不足の理由と、その対策について徹底解説します。

目次

  1. 人材不足の理由は「人口減少」
    1. 労働人口が減り続ける日本
    2. 人口のかたよりがもたらす、働き手の負担増
    3. ブルーカラー業種の人手不足
  2. 人材不足解消のカギは「外国人雇用」
    1. 世界の人口は今後も増える
    2. 外国人労働者の雇用状況
  3. 多様化する外国人の雇用方法
    1. 活動に基づく在留資格
    2. 身分や地位に基づく在留資格
    3. 外国人材の活用をはじめよう
    4. 不法就労に注意
  4. まとめ

1. 人材不足の理由は「人口減少」

日本の人口は、2008年を境に、減少に転じました。 少子高齢化は急速に進んでいることから、労働人口も減少の一途をたどっています。 これにより、労働市場では、深刻な人材不足が叫ばれています。

1-1 労働人口が減り続ける日本

日本の人口が増加に転じることは、難しいと考えられています。 出生率は、5年連続で下落。 新型ウィルスの影響を受け、その傾向はさらに顕著になっています。 仮に、今後出生率が改善されたとしても、女性の人口が減り続けています。 出産する年齢層の女性が減れば、生まれる子供の数も少なくなるでしょう。 大幅な出生率改善がなされない限り、日本の人口が増える見込みはないのです。

【図表】1.出生率

出典:厚生労働省「図表1-1-7 出生数、合計特殊出生率の推移」

1-2 人口のかたよりがもたらす、働き手の負担増

世界の中で、日本の高齢化率は突出しており、今後も高い数値が続く見込みです。 働き手の中心となる生産年齢(15~64歳)の人口は、1995年をピークに、減少に転じているのです。 2020年の内閣府のデータによると、現在は現役世代1.7人で、65歳以上の高齢者1人を支えています。 これが2065年には、1.3人で1人を支えることになると予想されています。 このような人口のかたよりは、社会システムの破綻やインフラの崩壊を招きかねません。 対策として、国の施策やサービスが打ち出されていますが、働き手への負担が増えることは、免れない状況です。

【図表】2.高齢化社会

出典:内閣府「高齢化社会の推移と将来推計」

1-3 ブルーカラー業種の人手不足

日本の労働市場において、人材不足は長い間課題となっていました。 現在でもその打開策として、シニア層の再雇用や女性の活躍推進、ITによる省人化など、社会全体で対応が進められています。 しかし、いわゆるブルーカラーと言われる業種には、この対策による人手不足の解消が難しい部分があります。 ブルーカラーとは、製造、建設、農業や漁業など、現場作業で直接生産に従事する労働者を指します。 いわゆる「肉体労働」としてイメージされる仕事であり、シニア層や女性労働者が働くのが難しいと考えられる分野です。 また、食品の製造や接客などは、臨機応変な対応を求められることが多く、ITによる省人化が難しい分野とされています。

2. 人材不足解消のカギは「外国人雇用」

人口全体が減っているために、働き手の数も減り続ける日本。 人材不足を解消することは可能なのでしょうか? そのカギを握るのは、「外国人雇用」であると考えられています。 国外から人材を登用すれば、日本の人口減少の影響は受けません。 また、若年層の人材を呼び込むことができるため、特に人手が不足する分野や業種のニーズにもマッチします。

2-1 世界の人口は今後も増える

世界の人口は、2020年には78億人となり、2019年に比べ8,000万人増加しました。 この先数十年は、増加の傾向が続くと予想されています。 高齢化による労働力不足の問題を抱える国は、日本だけではありません。 国外から優秀な人材を呼び込む、グローバル人材の獲得競争は、国際社会においてすでに始まっています。

2-2 外国人労働者の雇用状況

日本で就労する外国人労働者数は、2020年で172.4万人と、8年連続で過去最高を記録しています。

【図表】3.外国人労働者数

出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年 10 月末現在)」

ご存知の通り、新型ウィルスの蔓延により、新規入国が停止しています。
現在は一時的に、外国人労働者の増加にブレーキがかかっている状態です。
しかし、アフターコロナにおいては、外国人労働者の需要はさらに増えると見込まれています。
外国人労働者を国籍別で見ると、ベトナム国籍の方が中国を抜き1位に。
業種別で見ると、製造業が、外国人の受入れに最も積極的です。

【図表】4.国籍別外国人雇用 【図表】5.産業別外国人雇用

出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年 10 月末現在)」

国内における消費者のニーズは多様化しており、それに対応するためには、外国人材の活用が不可欠と考えられています。 5年後には、外国人労働者の数は100万人に達すると言われています。 減少した労働人口を補うために、国の主導のもと、外国からの労働力を呼び込む時代に突入しているのです。

3. 多様化する外国人の雇用方法

外国人材へのニーズが高まる現代。 法の整備などが進んだことから、彼らの受入れ方法も多様化してきました。 どのような在留資格があれば企業で雇用することができるのか、確認しましょう。

【図表】6.在留資格別外国人雇用

出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和2年 10 月末現在)」

3-1 活動に基づく在留資格

いわゆる「就労ビザ」は、昔からある外国人労働者の受入れ方法です。 日本での活動が認められている在留資格は19種類。 例えば、通訳として活動するなら「技術・人文知識・国際業務ビザ」、プロのスポーツ選手であれば「興行ビザ」を取得するのです。

3-1-1留学生をアルバイトとして採用できる?

実は、留学ビザでは就労が認められていません。 しかし、「資格外活動許可」という資格を取得することで、就労が可能になります。 週28時間以内という時間の制約がある点に注意しましょう。

3-1-2即戦力を採用できる「特定技能」

国が認めた14分野で就労が可能となる特定技能も、この「活動に基づく在留資格」に分類されます。 該当分野の知識と、日本語力を問われる試験を、それぞれ通過しないと、特定技能の資格は得られません。 そのため、 一定の専門性を有した即戦力を雇用することが可能です。 留学生アルバイトの失踪が多発したことなどがきっかけとなり、2019年に整備された新しい仕組みです。 これから外国人雇用を検討する企業であれば、積極的に活用したい制度ですね。

3-1-3国際貢献のための制度「技能実習」

特定技能と名前が似ていますが、制度の目的は大きく異なります。 技能実習は、日本の技術を途上国に移転することで、国際貢献の実現を図る制度なのです。 この制度を活用する企業は増えており、技能実習生は国内で急速に増加しています。

3-2 身分や地位に基づく在留資格

こちらは、永住者や、日本人と結婚した配偶者、その子どもなどに認められた在留資格です。 就労活動に制限がないため、単純作業やコンビニといった、他のビザでは就労が難しい仕事にも就くことができます。

(参考)いまさら聞けない「外国人が働ける在留資格」とは?

3-3 外国人材の活用をはじめよう

外国人労働者の雇用を検討するのであれば、まずは任せたい仕事の選定が必要です。 次に、その仕事に就くことを認められた在留資格が何か、確認します。 在留資格に応じた受入れ方法が決まれば、募集に取り掛かりましょう。 日本人と同様に、ハローワークを通じて求人を募ることも可能です。 外国人に特化した人材紹介サービスを活用すると、経験やノウハウに基づき、ニーズに合致したグローバル人材とマッチングしやすいでしょう。

3-4 不法就労に注意

外国人材を採用する際には、必ず就労カードの原本を確認するようにしましょう。 不法就労をあっせんした人だけではなく、事業主も処罰の対象となるのです。 密入国した人や、在留期限切れ、認められている資格の範囲外での就労など、様々なケースが想定されます。 外国人労働者を雇用する際は、不法就労のリスクは常に意識しておきましょう。

4. まとめ

人材不足の原因とその対策について、解説しました。 外国人雇用においては、煩雑な事務処理や言葉の壁など、企業がクリアすべき課題もあります。

しかしその反面、若い労働力を呼び込める、多様なニーズに応えられるといった、大きなメリットもあるのです。 少子高齢化の時代において、外国人労働者の活用なくして、日本全体の人手不足を解消するのは難しいでしょう。 グローバル人材の獲得競争が激化する前に、外国人の受入れについて検討してみてはいかがでしょうか。

【参考】
厚生労働省「人手不足の現状」
総務省「我が国が抱える課題と課題解決手段としてのICT」
内閣府「高齢化の現状と将来像」
出入国在留管理庁「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
出入国在留管理庁「不法就労防止にご協力ください」

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