特定技能に必要な分野別「技能試験」と「日本語試験」とは?

『特定技能』の取得の条件では、コミュニケーション能力に必要な「日本語試験」と産業別14分野の専門スキルを図る「技能試験」の合格が必須となります。特定技能外国人を雇用の際は、これらの2つの条件の合格者が採用時のポイントとなります。

特定技能に必要な分野別「技能試験」と「日本語試験」とは?

在留資格『特定技能』の取得の条件では、コミュニケーション能力に必要な「日本語試験」と産業別14分野の専門スキルを図る「技能試験」の合格が必須となります。

特定技能外国人を雇用の際は、条件となる2つの試験の合格者が採用時のポイントとなります。

目次

  1. 在留資格『特定技能』とは?
  2. 1号特定技能に必須の日本語試験
    1. 日本語能力試験(JLPT)
    2. 国際交流基金日本語基礎テスト
    3. 特定技能1号介護にはさらに試験が必要
  3. 1号特定技能に必須の技能試験
    1. 「技能試験」の受験資格
    2. 「技能試験」の概要
  4. 2号特定技能外国人の試験について
  5. 日本語能力向上に必要なコミュニケーション能力
  6. さいごに

1.在留資格『特定技能』とは?

『 特定技能』は、日本の少子高齢化に伴い、深刻化の進む企業の人手不足に対応するために2019年4月に設立した新しい在留資格です。
『特定技能』は、同資格が設立以前に設けられた在留資格『技能実習』で問題となった労働と技能実習の2つの活動の定義を明確にすることと、企業での労働条件に基づいた契約と就労が目的となっています。
『特定技能』には『特定技能1号』と『特定技能2号』があります。
『特定技能1号』は、最長で5年の就労が認められており、産業別14分野での就労が可能となっています。
『特定技能2号』は、在留期間の上限はなく、認められているのは建設業と造船・舶用工業のみです。
また『特定技能1号』での活動には、その条件となる「日本語試験」と「技能試験」の2つの試験で合格することが必須となっています。

2.1号特定技能に必須の日本語試験

特定技能1号の「日本語試験」では以下の2つの機関での受検が可能となります。
日本語能力試験/国際交流基金日本語基礎テストです。

2-1日本語能力試験(JLPT)

日本語能力試験は、日本語を母国語としない外国人の日本語能力を検定するために行われています。
『特定技能』では、N4レベル以上が合格ラインとなります。
日本語能力試験にはN5~N1までのレベル設定があり、N5が簡単でN1難しいレベルとなります。
日本語能力試験のレベル値の参考

N4レベルの条件:基本的な日本語を理解できること

  • 基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる。
  • 日常的な場面で、ややゆっくりと話す会話あれば、内容がほぼ理解できる。

試験方法:

マークシート方式で行います。

N4の試験科目と試験時間:

文字・語彙・文法・聴解で試験時間は115分です。(時間は変更することもあります。)

受験手続き:

日本での受検と海外での受検が可能です。
受験予約サイトからIDを取得し申し込みができます。
海外受検可能な地域→ 世界85の国と地域、249都市、
東アジア/東南アジア/南アジア/大洋州/北米/中南米/西欧/東欧/中東/北アフリカ/アフリカ

試験日程:

毎年7月/12月の第1日曜日に実施しています。
※現在コロナ禍の影響により、試験日程等の変更がありますので下記HPより確認できます。
日本語能力試験HP、試験日程

尚、結果に対する成績証明書の発行はオンラインで申請可能です。

2-2国際交流基金日本語基礎テスト

国際交流基金日本語基礎テストは、外国人が就労と生活面に必要なコミュニケーションに活用できる日本語能力を検定するために行われています。
『特定技能』ではA2レベル以上が合格ラインとなります。
国際交流基金日本語基礎テストでは、A1、A2、B1、B2、C1、C2の6レベルに設定されています。A1がかんたん~C2が一番むずかしいレベルとなります。
国際交流基金日本語基礎テストのレベル値の参考

A2レベルの条件:

  • ごく基本的な個人的情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、直接的関係がある領域に関する、よく使われる文や表現が理解できる。
  • 簡単で日常的な範囲なら、身近で日常の事柄についての情報交換に応ずることができる。
  • 自分の背景や身の回りの状況や、直接的な必要性のある領域の事柄を簡単な言葉で説明できる。

試験方法:

コンピューター・ベースト・テスティング/CBT:Computer Based Testing方式で行います。各試験場ではパソコンによる試験で、試験の質問は英語または現地語表記から解答することができます。

N4の試験科目と試験時間:

文字と語彙/会話と表現/聴解/読解で試験時間は60分です。

受験手続きと試験日:

日本での受検と海外での受検が可能です。 受験予約サイト からIDで取得し申し込みができます。

試験日程:

※現在コロナ禍の影響により、試験日程等の変更がありますので下記HPより確認できます。
国際交流基金日本語基礎テストHP
海外
日本国内

2-3特定技能1号介護にはさらに試験が必要

特定技能1号の14業種の中で、「介護」についてのみ、もう一つの日本語試験である「介護日本語評価試験」に合格する必要があります。 介護職種では、単なる作業だけでなく、利用者(高齢者や障害者)との日本語によるコミュニケーションが必須であり、利用者の命を守る仕事であるため、介護職種だけは特別に「介護日本語評価試験」の合格が課されています。

3.1号特定技能に必須の技能試験

特定技能1号の「技能試験」は、特定技能14分野の産業で活かせる、技術的、専門的な日本語能力の水準を図るための試験となります。
「技能試験」に対応できるための学習は、「日本語試験」では補えない分野別の言語についての知識を広げるために役立ちます。現場での即戦力を求める意味でも必須スキルとなります。
特定技能の「技能試験」は「技能評価試験」とも呼ばれます。

3-1「技能試験」の受験資格

※2020年4月1日以降の受験資格の項目
  • 国籍問わず
  • 年齢18才以上
  • 学歴問わず
  • 在留資格の取得者であること。
  • 在留資格の無い不法残留者等では受検は認められていません。
  • 短期滞在ビザの取得者でも受検が可能です。

3-2「技能試験」の概要

「技能試験」の試験開催時期や申し込み方法、問題について等は、特定技能14分野別に、試験を監督する機関のHPより詳細を閲覧できます。

4.2号特定技能の試験について

特定技能2号については、特定技能1号を5年経過した後に受験可能ですが、特定技能制度が2019年4月から開始された制度であるため、特定技能2号の開始まで時間があることから、特定技能2号の試験内容についてはまだその内容や受験資格が公開されておりません。

5.日本語向上に必要なコミュニケーション能力

『特定技能1号』の試験で要求されている合格基準のN4またはA2レベルは、必要最低限の基準として設けられたレベルであるため、実際に現場でうまく活かされないケースもありえます。
実践で使える日本語レベルとしては、N3もしくはN2 であれば、職場で一緒に働くときにスムーズな会話が成り立ちます。
日本語が通じにくい場合の対処法としては、外国人の日本語学習時間を増やすことはもちろんですが、企業側の努力も同様に必要となります。
例えば、語学力向上に不可欠なコミュニケーション能力については、外国人採用時のポイントでもあり、とくに特定技能外国人の出身国に多いアジア人の場合、特有のフレンドリーさと積極的なコミュ二ケーション能力は、評価できるスキルとなります。
日本語レベルがN4であってもコミュニケーション能力が際立っていれば、言葉の壁を超えて成立するケースもあります。
とかくコミュ二ケーション下手と言われる日本人にとっては、職場での外国人との連携には、持っている潜在的な能力にも目を向けることも大切です。

★さいごに

在留資格『特定技能1号』の外国人雇用の場合には、取得条件となる「日本語試験」と「技能試験」の合格が必須となります。また、日本語能力に不可欠なコミュ二ケーション能力も大事なスキルであり、合わせて特定技能外国人に対しての採用ポイントとして考慮することも重要です。
さらに、各国それぞれのお国柄を踏まえた積極的な国際交流は、外国人従業員の日本語能力向上に繋がるでしょう。
現在コロナ禍の影響による試験日程の変更がありますので、特定技能外国人の受け入れ予定の際には、採用スケジュールに合わせて確認、検討すると良いでしょう。

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