特定技能ビザ|転職できる?簡単ではないのか?まとめ

特定技能ビザは転職が可能か、各種転職時の必要な手続きの説明、外国人社員に長く活躍して働いてもらうための定着率を上げる方法を解説します。

特定技能ビザ|転職できる?簡単ではないのか?まとめ

目次

  1. 特定技能外国人の転職は可能か
  2. 在留資格「特定技能」の転職条件
    1. 同一の業務区分内
    2. 技能水準の共通性が確認されている業務区分間
  3. 特定技能外国人の転職の障壁
    1. 政府が引き抜きの自粛を要請している
    2. 自己退職の場合、アルバイトができない
    3. 在留資格変更申請が許可されなかった場合
  4. 転職の手続き
    1. 本人(または転職先の会社)がすべき手続き
    2. 退職した会社がしなくてはいけない手続き
  5. 自社の外国人に長く活躍して働いてもらうために
    1. 教育係を同じ国出身の先輩にする
    2. 日本人と同様の情報共有・伝達を行う
    3. 正当な評価をする
  6. まとめ

1.特定技能外国人の転職は可能か

「特定技能ビザは本当に転職できるのか」という疑問を持つ人は意外に多いのではないのでしょうか。
結論を先に申し上げると、特定技能外国人の転職は可能です。
しかし、そこにはさまざまな条件や障壁が存在し、日本人が転職する場合よりも遥かにハードルが高いため、簡単にはできるものではありません。

今回は、特定技能外国人の転職条件と手続きを中心に、そもそもなぜ転職のハードルが高いのかのご説明をしていきたいと思います。

なお、法令によって下記記載事項は変更になる可能性もあるので、出入国在留庁などのホームページで最新情報を確認しておくようにしましょう。

2.在留資格「特定技能」の転職条件

特定技能での転職が認められる条件は、以下の 1 または 2 をクリアすることです。
この条件をしっかりと理解していなくてはいけません。

  1. 同一の業務区分内
  2. 技能水準の共通性が確認されている業務区分間

この二点を詳しくご説明していきます。

2-1 同一の業務区分内

特定技能は、「建設」や「外食業」、「介護」など全14分野に分かれており、そのうちの8分野ではさらに業務が分かれます。
例えば、造船・船舶工業分野は6つの業務区分に分かれていますが、前の会社で造船・船舶分野の「機械加工」の仕事をしていた人は、転職先の会社でも「機械加工」をするのであれば転職が認められます。したがって、「機械加工」から「電気機器組み立て」や「塗装」のような転職はできないということです。
ただ、以下の分野は業務区分がないため、同じ分野で転職すれば必然的に同一の業務区分内となるので問題ありません。

業務区分がない分野:「介護」「ビルクリーニング」「自動車整備」「宿泊」「飲食料品製造業」「外食業」

2-2 技能水準の共通性が確認されている業務区分間

こちらの条件は、「素形材産業」「産業機械製造業」「電気・電子情報関連産業」が該当します。
例えば、「素形材産業」と「産業機械製造業」には同じ「鋳造」という業務があります。
前の会社で素形材産業分野の鋳造の仕事をしていた人は、転職先の会社が産業機械製造業分野でも仕事内容が鋳造であれば転職は認められるということです。
したがって、電気・電子情報関連産業分野には鋳造がないので転職はできません。

3.特定技能外国人の転職の障壁

条件を満たせば転職は可能ですが、そこには数多くの障壁があります。
ここでは3つご説明します。

3-1 政府が引き抜きの自粛を要請している

政府は、企業が他地域で雇用されている特定技能外国人を、積極的かつ無秩序に引き抜いて雇用することを自粛するよう各企業に要請しています。
その雇用によって、都市圏に外国人が過度に集中することや大企業への偏在が生じることが強く懸念されているためです。
例としては、食品産業特定技能協議会が平成31年3月に「特定技能所属機関による外国人労働者の引き抜き防止に係る申し合わせ」を発表しました。加えて、他分野においても自粛の申し合わせが行われています。
これらが、特定技能外国人の転職活動の難易度を上げている一因となっています。

3-2 自己退職の場合、アルバイトができない

特定技能外国人の場合、会社の自発的な解雇の場合を除いて、アルバイトは在留資格で許可されていない活動にあたります。
したがって日本人のように、転職先で働き始めるまでアルバイトでお金を稼ぐということが出来ません

特定技能の在留資格変更許可の申請は2〜3ヶ月かかるという状況にあります。
多くの特定技能外国人は自国に稼いだお金を送っているので、その期間に仕送りが途絶えてしまうことへの懸念があります。
そもそも、特定技能外国人自身が転職活動中の無収入期間を耐え抜くような経済基盤は持っていません。
唯一かつ理想の転職活動のシナリオとしては、現在の会社に在職中に、自分自身で人材紹介・人材斡旋業者を探し出してコンタクトを取り、次の就職先を見つけて雇用契約を締結するという流れになります。さらに、登録支援団体が支援計画を作成、その後2〜3ヶ月の手間のかかる在留資格変更申請を経て、やっと晴れて転職することができます。
これらの行動を約半年間、会社に隠れて行うというのは大変困難なことです。
そこまでして、多少の条件面の違いしかない会社に転職しようと思う特定技能外国人はそう多くはないでしょう。

3-3 在留資格変更申請が許可されなかった場合

特定技能のビザ変更申請は、100%通る保証はありません。
最大のリスクは、万が一在留資格の変更申請が許可されなかった際に、受け入れができないばかりではなく、自国に帰国しなければならなくなることでしょう。
帰国する可能性を含んだ上での転職活動は、特定技能で就労中の外国人にとっては大変壁が高いものであり、そう簡単に決断できることではありません。

4.転職の手続き

特定ビザの転職に必要な手続きは二つあり、転職先の会社(外国人本人)がする手続きと、退職した会社がする手続きです。

4-1 本人(または転職先の会社)がすべき手続き

①所属(契約)機関に関する届出

まず、特定技能に限らず、会社を辞める際と新しい会社が決まった際は、それぞれ14日以内に外国人本人が「所属(契約)機関に関する届出」を入国管理局(入管)へ行う必要があります。

※会社を辞めてすぐに新しい会社に就職する場合はまとめて届出を行うことが可能です。

②在留資格変更許可申請

それとは別に、特定技能外国人は、転職をする場合に「在留資格変更許可申請」をする必要があります。
この在留資格変更許可申請は、留学生や技能実習生から変更する時の在留資格変更と同じ手続きをしなくてはいけません。したがって、外国人本人や転職先の会社が用意や作成する書類の数も大変多く、手続き内容としてはかなり手間のかかるものになります。

4-2 退職した会社がしなくてはいけない手続き

①雇用保険被保険者資格喪失の届出

ハローワークに雇用保険被保険者資格喪失の届出を行うことで、出入国在留管理局への退職の届出が免除されます。日本人が退職する場合も同様の届出を行いますが、外国人は日本人よりも記載事項が多くなります。

②退職証明書の発行

決まった書式はありませんが、在籍した期間や業務内容、役職、労働賃金、退職の事由などを記載します。

③日本人と同様の退職手続き

当然、日本人社員と同様の退職手続きも行わなくてはいけません。
下記は、基本的な各会社共通の手続きです。

  • 健康保険証の回収
  • 社会保険の資格喪失処理の手続き
  • 源泉徴収票の交付
  • 雇用保険の離職票の交付

5.自社の外国人に長く活躍して働いてもらうために

現状の市場は、雇用主が有利な状態にあります。だからこそ、自社で抱える特定技能外国人への投資を惜しんではいけません。
転職したいと思うことがないような環境づくりをするための取り組みの例を3つご紹介します。

5-1 教育係を同じ国出身の先輩にする

採用した特定技能外国人の教育係を同じ国出身の外国人にすることでコミュニケーションが円滑になります。それによって仕事内容の習得スピードは上がり、また同郷の先輩がいる安心感も生まれ精神面でのケアも可能になります。

5-2 日本人と同様の情報共有・伝達を行う

言語が異なる分、情報共有や情報伝達のスピードに差が生まれてしまうことはある程度は仕方のないことです。しかし、その差を外国人自身が感じてしまうと、自信の低下だったり、実力を発揮できなかったりなどの問題が発生してしまいます。伝え方やその頻度を工夫することで日本人との情報格差をなるべく小さくしましょう。

5-3 正当な評価をする

評価はそのままモチベーションに直結します。妥当な評価を受けていないと感じてしまえば、それだけやる気は低下します。逆に正当な評価を受けていると感じたら仕事のやる気がアップするだけでなく、その会社に対する信頼度も高まります。外国人が活躍したら昇給や昇進といった目に見える評価を行い、その外国人がさらに活躍できるようにサポートすることが大切です。

6.まとめ

今回は、特定技能外国人の転職に関してご説明しました。転職は可能です。しかし、引き抜き自粛要請やアルバイトができないことのリスクにより、特定技能外国人にとって大変困難なものとなっているのも現状です。
また、その際に必要になる在留資格変更の申請は、準備しないといけない書類が多く大変手間のかかる手続きとなりますので、しっかり丁寧に行いましょう。
また、その外国人が退職した会社側にも必要な義務があります。それを怠ると罰則があるので、特定技能外国人が自社から転職した際には迅速に対応することが求められます。

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