特定技能「飲食料品製造業」とは?対象工場・対象業務をわかりやすく解説

特定技能「飲食料品製造業」とは?対象工場・対象業務をわかりやすく解説
特定技能「飲食料品製造業」とは?対象工場・対象業務をわかりやすく解説

特定技能「飲食料品製造業」は、原料処理や加熱、成形、包装前の衛生管理まで、日々の製造ラインで必要とされる技能を外国人材が実務として担えるように設計された制度です。

この特定技能「飲食料品製造業」では、作業者として工程の実務を担当する「特定技能1号」と、品質や納期を含むライン全体の管理まで担う「特定技能2号」が別の区分として定義されています。

特定技能外国人の受け入れを検討する企業は、自社の工程に必要な役割を踏まえて、どちらの区分での人材の配置が適切なのかを判断する必要があります。

この章では、まず押さえておきたい飲食料品製造業における特定技能制度の全体像をご紹介します。

特定技能「飲食料品製造業」の制度を理解するための5つのポイント

  • 特定技能制度は、日本の深刻な人手不足に対応するために、一定の技能を備えた外国人材を即戦力として受け入れる目的で創設された制度である。
  • 飲食料品製造業分野は、原料処理や加熱、成形、乾燥など食品づくりの主要工程と安全衛生業務を特定技能外国人が従事できる業務として定めている。
  • 特定技能制度は、製造作業を担う1号と工程管理まで行う2号を区分し、それぞれに必要とされる技能水準と在留条件を明確に設定している。
  • 受け入れ企業は、食品産業特定技能協議会への加入や農林水産省の調査協力など、飲食料品製造業分野に固有の基準を満たす義務を負う立場である。
  • 受け入れ企業は、外国人材にキャリアアッププランを事前に説明し、求めに応じて実務経験を証明する書面を交付する責任を負い、適正な雇用環境を整える必要がある。

特定技能「飲食料品製造業」の制度では、外国人材が食品づくりの主要工程に実務者として従事が可能です。

飲食料品製造業の1号・2号の業務区分とできること・できないこと

項目 特定技能1号(SSW1) 特定技能2号(SSW2)
在留期間 通算5年が上限 上限なし(更新回数制限なし)
求められる技能水準 相当程度の知識・経験を持ち、特段の訓練なく製造作業を遂行できる水準 熟練した技能を持ち、高度に専門的な作業や工程管理を自ら判断して行える水準
主たる業務 飲食料品の製造・加工と安全衛生の確保 1号の業務+飲食料品製造業全般の管理業務
従事できる業務(詳細) 原料処理、加熱、殺菌、成形、乾燥などの製造工程
機械の安全確認、作業者の衛生管理などの安全衛生業務
原料受入れ、納品、清掃などの付随作業(専ら従事は不可)
1号のすべての業務
衛生管理/品質管理/納期管理/コスト管理/従業員管理/原材料管理などの管理業務
複数スタッフの指導と工程管理
従事できない業務・制限 レジ打ち・接客などの販売業務
単純選別・梱包のみの作業を主業務とする配置
製造に該当しない周辺業務のみを割り当てる配置
販売業務や専ら付随業務のみの配置は不可(1号と同じ)
管理業務を中心に担う点のみが1号と異なる

先にも触れたように原料処理、加熱、成形、乾燥など、製造ラインの中心となる作業に加え、衛生管理や機械の安全確認といった基本的な安全衛生業務も特定技能外国人に任せることができます。

ただし、飲食料品製造業の特定技能1号として就労する人に対して、販売業務や製造と直接関わらない周辺作業のみを専ら行わせる業務配置は認められていません。

ここでいう周辺作業とは、レジ打ちや接客などの販売業務、または単純な選別・梱包のみといった業務を指します。

また、飲食料品製造工場での事務作業や工程管理といった管理業務は、特定技能2号の取得者に限って従事が認められています。

特定技能「飲食料品製造業」受け入れ企業が満たすべき基準

  • 企業は食品産業特定技能協議会への加入が必須であり、協議会および農林水産省の調査や指導へ協力する義務を負う。
  • 企業は採用前に特定技能外国人へキャリアアップ計画を提示し、処遇や職務の成長イメージを明確に説明しなければならない。
  • 企業は外国人が就労した後、求めに応じて実務経験を証明する書面を交付し、キャリア形成を裏付ける義務がある。
  • 企業は製造・加工や安全衛生などの工程に応じて適切な技能区分(1号・2号)を判断し、技能水準に合う配置を行う必要がある。
  • 企業は外国人を直接雇用し、制度基準に沿った雇用管理と職場環境整備を行うことで、安心して働ける環境を整備する責任を負う。

受け入れ企業は、まず食品産業特定技能協議会への加入が求められます(加入は在留申請前に事業所ごとで行う必要がある)。

その上で協議会が行う実態調査や情報共有の取り組みに加え、農林水産省による監査・指導にも協力しなければなりません。

また、企業は特定技能外国人の採用段階でキャリアアッププランを提示し、将来の職務内容や処遇の見通しを具体的に説明する義務もあります。

そして、採用した特定技能外国人の就労開始後には、本人の求めに応じて実務経験を証明する書面を交付し、キャリア形成を裏付ける責任も負う必要があるのです。

特定技能「飲食料品製造業」で対象となる食品工場の種類

特定技能「飲食料品製造業」の対象となる食品工場では、原料処理や加熱、成形、安全衛生の管理といった「食品をつくるための工程」が事業の中心に位置づけられている場合、特定技能外国人を製造工程の担い手として働かせることができます。

上記の条件を満たすほぼすべての工場、例えば日本標準産業分類上の食料品製造業をはじめ、セントラルキッチンやプロセスセンター、製造機能を持つスーパーのバックヤード等は、特定技能外国人を製造・加工業務に従事させることが可能です。

つまり、食品づくりの主要な製造工程を主たる事業としている食品工場の多くが制度の対象となるため、特定技能外国人の採用を進めることができます。

特定技能 飲食料品製造業の対象工場と対象外工場一覧

特定技能 飲食料品製造業の対象となる食品工場の種類(一覧表)

日本標準産業分類 該当する食品工場・業態 対象となる理由
中分類09 食料品製造業 畜産・水産加工、パン・菓子、惣菜、冷凍食品、豆腐、めん類 など 飲食料品の製造・加工を主たる事業として行うため
小分類101 清涼飲料製造業 清涼飲料、炭酸飲料、スポーツ飲料の製造工場 飲料の製造工程が特定技能の対象業務に該当するため
小分類103 茶・コーヒー製造業 茶葉加工、レギュラーコーヒー製造工場 食品製造として加工工程を行うため
小分類104 製氷業 工業用・業務用製氷工場 水の加工・成形工程が食品製造業に含まれるため
細分類5621 総合スーパー(製造部門) 鮮魚加工・精肉加工・惣菜製造・ベーカリー部門 自社内で食品製造を行っている場合に限り対象となるため
細分類5811 食品スーパー(製造部門) 青果加工、鮮魚加工、精肉加工、惣菜製造部門 主要な経済活動として食品製造工程があるため
細分類5861 菓子小売業(製造小売) 店内で製造を行うケーキ店・和菓子店 製造と販売が不可分であり、製造工程が存在するため
細分類5863 パン小売業(製造小売) 店内で焼成を行うパン店 パン製造設備と工程が継続的に存在するため
細分類5896 豆腐・かまぼこ等加工食品小売業 自家製豆腐・かまぼこ等を製造する店舗 店舗内に製造設備があり、主要事業として加工を行うため
その他対象施設 セントラルキッチン、プロセスセンター 外食向け・小売向けの食品製造を一括生産する独立施設のため

特定技能「飲食料品製造業」の対象外となる工場は、主要な経済活動が食品の製造・加工ではない事業所です。

下記の表の施設・工場は対象外となるので注意しましょう。

対象外となる食品工場・業務の一覧表

分類 対象外となる事業所・形態 対象外となる理由 備考(他分野での採用可能性)
製品区分 酒類製造業 飲食料品製造業の対象分類に含まれていないため 製造分野での特定技能受け入れ不可
製品区分 医薬品・医薬部外品・食品添加物の製造 食品ではなく薬事領域に分類されるため 製造分野(特定技能)での採用不可
製品区分 香料・塩・飼料(ペットフード等)製造 飲食料品に分類されない業種のため 該当する特定技能分野なし
テナント スーパー内の製造小売テナント 店舗単位では料理品小売業に分類されるため 外食分野での検討が可能なケースあり
外食業 店舗の厨房やバックヤード 調理提供が主要経済活動であり製造ではないため 外食業特定技能での採用が可能
外食業 仕出し・デリバリー・持ち帰り飲食サービス 客の注文に応じて提供する外食モデルに該当するため 外食分野の特定技能で検討可能
給食 学校・病院・福祉施設の厨房 外食業(給食事業)に分類されるため 外食業特定技能の対象
卸売業 野菜の軽微な加工を行う卸売業 加工が主要経済活動ではなく卸売が本体のため 特定技能の対象外
農業 農産物を栽培し一部を軽微に加工する事業 主要経済活動が農業のため 農業分野の特定技能で採用可能
業務内容 販売業務(レジ・接客) 製造工程に該当せず付随業務にも位置づかないため 外食・小売いずれの特定技能にも非該当
業務内容 選別・包装のみのパッキングセンター 製造工程がなく加工とみなされないため 特定技能の対象外
労働形態 飲食品製造工場への派遣 特定技能制度で派遣就労が禁止されているため 制度上不可

これらの業態は、食品を扱っていても「製造工程」よりも「提供・販売」が事業の中心に位置づけられていると制度として解釈されているからです。

また野菜の軽微なカットや選別・包装だけを行うパッキング施設、卸売業に付随する簡易な加工施設も対象外になります。

なお持ち帰り弁当店やデリバリー専門店のように、注文に応じて調理提供を行う外食業態も制度の枠から外れる場合や該当する場合があるので、気になることがありましたら、ミャンマー・ユニティにご相談ください。

これらの作業は制度が想定する「製造・加工」には該当しないとされており、技能を前提とした工程として認められません。

一部、外食業特定技能と似ている部分もありますが、制度上は全くの別物として扱われます。そのため、両者の違いを正確に理解したうえで判断しましょう。

【まとめ】特定技能「飲食料品製造業」の基本をおさらい!

特定技能「飲食料品製造業」は、食品づくりの主要工程に外国人材が実務者として参画できる制度です。

他の外食業や農業などの特定技能分野と混同しやすい点もありますが、「飲食料品製造業」は “食品をつくる工程を主たる事業としている工場であること” が前提条件となります。

まずは自社の工程が 原料処理・加熱・成形・乾燥・衛生管理といった製造工程の連続性を持つかどうか を確認することが、制度活用の第一歩になるでしょう。

特定技能「飲食料品製造業」のおさらいしておきたい制度活用の重要ポイント

  • 特定技能を採用する企業は、食品産業特定技能協議会へ加入し、農林水産省の調査や活動に協力する必要があります。
  • 特定技能を採用する企業は、採用前にキャリアアップ計画を提示し、外国人材に将来の成長イメージを丁寧に説明する必要があります。
  • 特定技能を採用する企業は、就労後に求めがあれば、実務経験を証明する書面を適切に交付する義務があります。
  • 特定技能を採用する企業は、特定技能1号と2号の技能区分を理解し、工程内容に応じて適切に配置する必要があります。
  • 特定技能を採用する企業は、対象となる工場・対象業務の線引きを正しく把握し、制度に反する誤った配属が起きないよう管理する必要があります。

特定技能の採用は、通常の日本人採用とは違い、自社の工程と制度要件がどの程度合致しているのかを、工程ごとに丁寧に照らし合わせながら判断する必要があります。

対象工場の線引き、特定技能外国人労働者に任せられる業務や1号と2号の運用の違いなど、専門家でなければ判断が難しいポイントが多く、特定技能の採用について「詳しく知りたい」とお考えなら、まずは制度に詳しいミャンマー・ユニティのような特定技能支援の専門家へ早めに相談することをおすすめします。

ミャンマー・ユニティでは、特定技能「飲食料品製造業」の受け入れ後の運用について無料でご相談を承っております。

ぜひ、この機会に外国人雇用の基礎を知るところから始めてみませんか?

無料でご提供しております

関連記事