社内で外国人を受け入れ、雇用の準備・体制を整えるためのポイント
外国人の受け入れ、雇用の準備や体制を整えるポイントを基礎から具体的に解説し、どういったことを受け入れ時にしたほうがいいか等や特定技能外国人材の支援体制についても説明します。
目次
1.外国人材を受け入れる体制
外国人材を受け入れる前にどんな準備をしておけばよいでしょうか。一般的に企業が取り組んでおくと良いことを紹介します。
外国人材受け入れの準備をせずに受け入れるのではなく定着率や働きやすさを向上させるために社内の体制を構築していきましょう。
ビジョンの明確化
外国人材は会社の成長性を考え、入社します。日本人とは企業選びの考え方が
違います。
事業の将来性を良く考えましょう。
会社の成長ビジョンや、海外展開の未来像を作成しておき、
外国人材に説明できるようにしておきましょう。
外国人を採用する目的、人材を認識しておく
あなたの会社で外国人材を採用する目的は何でしょうか?
外国人を採用する目的には、海外進出のため、新しい視点を生み出すためなど
様々なものがありますが、外国人材入社後のために事前に理解しておくことが大事です。
また求める人材像も具体的に認識しておきましょう。
専門的なスキルやコミュニケーション能力、日本語能力などを自社のポジションや事業戦略に応じて明確に決定しておきましょう。
キャリアパスの構築
日本人と外国人ではキャリアの考え方も違います。
日本企業では複数の業務を任せられることが多い中、特定の国ではジョブ型の雇用といって専門性をもち、 職務内容にあったことをこなすことが多いです。
日本企業のような働き方を外国人に強いると働き方が合わず、ミスマッチがおきてしまう可能性があります。
これらの問題が発生することを防ぐために、受け入れる前にはどんな人材にどんなことをして欲しいのか方針を明確化しておきましょう。
受け入れる前の段階で採用する外国人に確認、明示を徹底しましょう。
昇進や昇格の内容も明確にしてどんな成果でキャリアを歩めるのかを社内で構築しておきましょう。
評価基準を明確にする
外国人に評価が不当だと思われないように、評価基準は具体的に数値で分かりやすく設定しましょう。
そのためには日本人と外国人の違いのほかにも
リモート社員や働き方が違う人がいる場合も、明確に差別のないよう正当に評価されるような基準をつくりましょう.
外国人採用に理解のある上司やメンターを採用する
仕事へのアドバイスやサポートを円滑に進めるために、母国語で外国人材とコミュニケーションがとれるメンターや、外国人材とのコミュニケーション経験豊富な上司と一緒に仕事ができる環境を構築することも重要です。
また、メンターは外国人材の人事考課者ではない人が行うべきでしょう。
社内でルールを決めておく
外国人材が理解できるように社内のルールは決めておき、マニュアル化するとよいです。
日本特有のビジネスマナーなど、外国人にとって理解しにくいことは外国人材の母国語でマニュアル化して共有しましょう。
また他の社員との交流、指導を積極的に行うことで、社員としての帰属意識などが身につきます。
社内全体に外国人採用について伝える
外国人材受け入れが初めての場合は外国人材採用の目的などを社内に伝えましょう。
伝えずに進めると不満を持った社員が転職することなども考えられます。
外国人材を受け入れることで社内を活性化させるには、受け入れる前に周知を徹底し、理解してもらうことが必要です。
外国人材の受入れを否定する社員がいる場合は、しっかりと説明する時間をつくりましょう。
外国人を雇用方法について学ぶ
外国人材は日本人とは採用方法が違います。
基本的には在留資格を確認し、その在留資格に適した仕事なのかどうかを確認してください。
コンプライアンスや、どのような場合に不法就労になるかついても採用前に学んでおくと必要があります。
日本語能力の確認、教育体制の構築
受け入れたい人材に求める日本語のレベルをしっかり確認しましょう。
任せる仕事内容によって求める日本語のレベルは異なります。
面接時に日本語でどの程度のコミュニケーションが取れるかを把握することに加え、日本語の能力試験結果などを提出してもらい客観的なレベルを確認するのも良いでしょう。
インターンシップ期間でコミュニケーション能力をはかる
採用したい職種において、可能であればインターンシップを活用して実務能力を確認するのも有効です。
面接では好印象でも、実際の業務では面接時の印象とは全く違う態度やコミュニケーションをする場合もあります。
2. 特定技能外国人材を受け入れる基礎的な支援・体制
特定技能外国人を受け入れる場合は、受入れ体制を整えるために実施すべき義務は以下の通りです。
特定技能外国人材以外を受け入れる場合においても、サポートして体制の構築の参考にするといいでしょう
受入れ体制を整えるために実施すべき義務
特定技能外国人への事前ガイダンス
特定技能外国人に対して行う事前ガイダンスは、特定技能雇用契約の締結後から特定技能外国人の在留資格認定証明書の交付申請までの間に、政府が定めた運用規則として日本での生活方法や雇用契約の内容などに関して相手が理解できるように説明する必要があります。
この際の一連の説明を「事前ガイダンス」と言います。対面またはWEB会議ツールなどを用いて説明する必要があり、文章の郵送やメールでのやりとりだけでガイダンスを済ませるのは禁止です。また、特定技能外国人が十分に理解できる言語を使って、ガイダンスを行う必要があり、外国人の日本語レベル次第では、母国語や第二言語などを用いる必要があります。
出入国する際の送迎
海外からくる人材が出入国する際はサポートを忘れないようにしましょう。
法務省令上、受入れ機関は特定技能外国人が出入国しようとする飛行場や港において外国人を送迎することが規定されています。事前に外国人の送迎が可能な国際空港等を決めましょう。
住居探し支援
日本で働くときに重要なものの1つには住む場所があります。多くの外国籍求職者の方が、住居探しに困っています。社宅を用意するのがベストではありますが、社宅が難しい場合は、物件情報の提供や不動産仲介事業者の紹介を行って住居サポートをしましょう。
銀行口座開設支援
外国人は生活に必要な銀行手続きにも困っています。契約手続を行う際に必要な書類や窓口を案内するとともに,外国人であることや日本語のコミュニケーション能力不足により契約が阻害されないよう,必要に応じて当該外国人に同行して各手続の補助を行ってください。
役所住民登録支援
日本に在留するにあたって役所に住民登録しましょう。
登録を忘れて今後の生活においての申請において障害にならないように支援しましょう。
電気ガス水道契約支援
電気ガス水道の契約についても日本人と同じようにできるわけではありません。
電気ガス水道等の公共サービスの契約支援、紹介をしましょう。
携帯電話契約支援
海外と日本では携帯電話サービスの使い方が違います。日本では少し前まで携帯端末とSIMカードをセットで購入し、携帯電話契約することが一般的でした。
しかし、海外では携帯端末とSIMカードは別々に購入と契約をします。
日本でも最近は格安SIMが普及してきましたが、大手キャリアの携帯電話会社での契約の場合、従来の携帯端末とSIMカードのセット販売での購入、契約となるケースが多いです。
携帯電話の契約の審査は外国人に対して厳しいです。
特に日本語のコミュニケーション能力不足により契約が阻害されないようサポートが必要です。
クレジットカード作成支援
身分証明書を複数準備する
必要となる身分証明書は、在留カードまたは特別永住者証明書ですが、それら以外にも、運転免許証、パスポート、健康保険証、住民票、携帯電話契約情報など、現在の住所とそこに定住していることが分かる書類があるとクレジットカード会社からの信頼が得られやすいです。
収入を証明できる書類
先述の通り、クレジットカードを作るには安定した収入(支払い能力)が必要であるため、その事実を証明できる書類があるとクレジットカード会社からの信頼が得られやすくなります。給料明細や所得明細書などの書類があるとなお良いでしょう。
日本語教育支援
外国人が生活で抱える問題の原因の多くが日本語能力です。現在は比較的場所や時間を気にせず学習することができる、オンライン型の日本語学習などもあります。
日本語ができるようになると外国人が生活で抱える不安のほとんどが解消されます。
不安を少しでも失くしてあげるためには日本語学習支援は欠かせません。
ゴミ出しルール指導
外国人が生活のルールが分からず、よく困るのはゴミの捨て方です。
- 自治体指定のごみ袋の存在を知らない
- ゴミの分別方法が分からない
- ゴミを出すタイミングが分からない
外国人が初めて日本で生活をするとき、上記の点を理解できていないことが多いです。
入居時に大家さんから、ゴミの回収曜日と時間の案内をされると思いますが、入居する外国人にとって、可燃ゴミと不燃ゴミの区別などの細かいルールはかなりハードルが高いです。
ゴミ出しルールを理解していないために、大家さんや近隣の方からゴミ出しについて注意されることも考えられますが、そもそも日本語力が不足している場合は、何が悪くて注意をされているのかが理解できません。
そうすると、いくら注意してもゴミ出しルールを守らないということで、ご近所トラブルに発展することがよく起こります。
ゴミ出しトラブルはかなりよく発生しますので、身近な日本人のサポートが必要です。
医療機関情報提供
外国人は日本の医療機関の情報を入国前からは知りません。
適切な医療機関を紹介、情報提供を行いましょう。
また、外国人が医者にかかるときには、自分の症状の日本語で医者に伝えることが困難な状況も多いですので、事前に通訳サポートを準備しておきましょう。
日本人との交流促進支援
日本人との交流促進支援は地域のイベントや社内のコミュニティを活用して行いましょう。
日本には季節に応じたお祭りやイベントがたくさんあります。
お正月、節分、ひな祭り、お花見、ピクニック、海、山、盆踊り、花火大会など、季節の催しを利用して、家族から離れ頑張っている外国人材が孤立化しないように定期的に交流を促しましょう。
相談・苦情に対する母国語対応
外国人材相談・苦情に対して細かいニュアンスも確認しなければなりません。
母国語でコミュニケーションができるように体制を整えておきましょう。
災害・防犯情報提供
日本での災害、防災情報システムについても外国人材は把握できていないことが多いです。受け入れ期間が情報提供、サポートをしっかりと行いましょう。
定期的な面談
特定技能所属機関または委託を受けた登録支援機関は、3ヶ月に1回以上次の者と面談を行わなければなりません。また
転職や離職が進まないようにする効果もあり外国人社員の定着率向上に繋がります。
外国人従業員に転職されないための6つのポイント
交通ルール教育
日本の交通ルールは外国とは違う面が多いです。交通ルールやマナーについて 指導を行い、事故の防止をしましょう。
特定技能雇用契約を解除された場合の転職支援
特定技能所属機関が人員整理や倒産等による受入れ側の都合により、1号特定技能外国人との特定技能雇用契約を解除する場合には、当該外国人が他の本邦の公私の機関との特定技能雇用契約に基づいて特定技能1号として活動を行えるように、次の支援のいずれかを行う必要があります。
- 所属する業界団体や関連企業等を通じて、次の受入れ先に関する情報を入手し提供すること。
- ハローワーク等の職業安定機関又は職業紹介事業者等を案内し、必要に応じて、1号特定技能外国人に同行し、次の受入れ先を探す補助を行うこと。
- 1号特定技能外国人の希望条件・技術水準・日本語能力等を踏まえ、適切に職業相談・職業紹介が受けられるよう、又は円滑に就職活動が行えるように推薦状を作成すること。
- 特定技能所属機関等が職業紹介事業の許可又は届出を受けて職業紹介ができる場合は、就職先の紹介あっせんを行うこと。
- 1号特定技能外国人が求職活動を行うために有給休暇を付与すること。
- 離職時に必要な行政手続(国民健康保険や国民年金に関する手続き等)について情報を提供すること。
- 倒産等により、転職のための支援が適切に実施できなくなることが見込まれるときは、それに備え、当該機関に代わって支援を行う者(登録支援機関・関連企業等)を確保する必要があります。
以上の1~4のいずれかに加え、次の支援については、いずれも行う必要があります。
行政機関への通報
労働基準法、その他労働に関する法令および入管法の違反、 旅券及び在留カードの取上げ等その他の問題の発生 を知った時は、関係行政機関へ通報する必要があります。
以上の支援について登録支援機関との支援契約を締結し、支援を依頼する
初めて外国人を採用するので、自社で生活までサポートできるか分からないと感じている企業の方、忙しくてサポートする余裕がない企業の方には、登録支援機関に支援を依頼することをお勧めします。
3Eは登録支援機関のため、支援契約を締結し、支援を行うことができます。
日本全国どこでも多言語で対応できる登録支援機関もあります。
3.まとめ
多くのポイントをご説明しましたが、すぐに全部できなくても1つ1つコツコツと実施していきましょう。
お気軽にお問い合わせください