外国人採用の企業側メリット4つと課題・注意点

この記事では外国人を採用に対する不安を払拭するため、メリット、課題、注意点について紹介しています。外国人採用は受け入れ企業が行うべきことが非常に多いです。1つ1つ丁寧に説明していきます。

外国人採用の企業側メリット4つと課題・注意点

目次

  1. 外国人雇用の現状と外国人を採用する理由
  2. 外国人採用のメリット
    1. 若く優秀な人材を確保できる
    2. 職場が活性化する
    3. 外国人ならではの発想が取り入れられる
    4. 事業の海外進出への足掛かりになる
  3. 外国人採用の課題・注意点
    1. 在留資格など複雑な手続きが必要になる
    2. 受け入れ体制を整える必要がある
    3. 文化や慣習の違いで日本人社員と衝突する恐れがある
    4. 言葉の違いでコミュニケーション不足に陥る恐れがある
    5. 外国人雇用のトラブル
  4. まとめ

外国人雇用の現状と外国人を採用する理由

厚生労働省の「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)」によると、2022年10月末時点の日本で働く外国人労働者数は、約173万人でした。 それまでは増加傾向にありましたが、新型コロナウイルスの影響もあり、2021年の外国人労働者数は約170万人だったので、横ばいとなっています。
国籍別では、1位がベトナムの約45万人、2位が中国の約40万人、3位がフィリピンの19万人となっています。
産業別では、「製造業」が最も多く、外国人労働者全体の27.0%を占めています。次いで、「サービス業」が16.3%、「卸売業、小売業」が 13.3%となっています。 日本での人材不足が深刻になっているIT事業でも、外国人労働者を採用する企業が増えています。 また、近年「医療、福祉」や「卸売業、小売業」、「宿泊業、飲食サービス業」が増加傾向にあります。最近では高い技術を持った「エンジニア」なども外国人を採用するケースが多くあります。
参考資料:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和3年10月末現在)

外国人の採用踏み切った理由として「求人を出してもなかなか労働者が集まらない」といった労働力不足に悩んでいる方が多いです。
また、長期間働いてほしいといった定着の問題や、優秀な人材を確保するという目的で外国人の採用を考える担当者もいます。

外国人採用のメリット

若く優秀な人材を確保できる

少子高齢化により、日本は若年層の労働者の確保が難しくなってきています。特に、在留資格「特定技能」の14の分野(介護・農業・宿泊など)や、AI・IoTといった情報システム分野の発達に伴うIT人材の不足は深刻です。

海外には、母国で専門的な知識を学んだ人材、学習意欲の高さや日本の高い賃金水準によって日本で働きたいと希望する人材がいます。こうした海外の若い人材を採用することで、国内では補いきれない労働力を確保することができます。

職場が活性化する

外国人の中には高い労働意欲や学習意欲を持った方が大勢います。そんな外国人の方々に感化され、日本人にも良い影響を与えることができます。

それだけではありません。難しい言葉が伝わりづらく、作業の熟練度がまだ高くない外国人を指導していく過程で、分かりやすいマニュアルが生まれて業務の標準化ができるようになったり、作業工程が改善されたりすることもあります。

外国人労働者を受け入れるという共通の目的があるため、日本人従業員同士のコミュニケーションが活発になることもあります。

外国人ならではの発想が取り入れられる

日本人とは違う環境で育った外国人は、それぞれの母国での文化・宗教・教育などによって、日本人とは異なる価値観や考え方を持っています。その視点から生まれる発想やアイディアは固定観念にとらわれない斬新なものが多く、日本人従業員にとっては大きな刺激になるはずです。

新しい技術や企業文化を生み出すきっかけになったり、既存のアイディアとの相乗効果が期待できたりもするでしょう。

事業の海外進出への足掛かりになる

日本で働く外国人は、日本語と母国語のバイリンガルです。さらに、彼らにとっての海外となる日本で働く外国人には、英語や中国語などそれ以外の言語も話せる方が少なくありません。

もし海外企業との取引を開始したい、事業を海外展開したい、といった展望があり、社内にその国を母国とする従業員がいる場合、現地の言葉が話せる彼らは大きな戦力になります。

言葉だけでなくその国の国民性や商業的な慣習も熟知していますので、グローバル化のハードルが下がるメリットがあります。

外国人採用の課題・注意点

在留資格など複雑な手続きが必要になる

前提として、外国人を雇用するには外国人の就労が認められている業種や職種でなければなりません。まずはそれを確認しておきましょう。

その上で、その業種や職種に就くために必要な就労できる在留資格(就労ビザ)の取得が必要です。就労ビザを取得するためには必要な書類がたくさんあり、取得にはおおむね1~3ヵ月程度の期間が掛かってしまいます。もし手続きに誤りがあると不法就労となってしまいますので、十分に余裕を持って準備をしておくように注意しましょう。

受け入れ体制を整える必要がある

異国の地で働くことになる外国人にとって、慣れない土地での生活はストレスになることもあります。外国人にとって働きやすい職場環境になるよう、体制を整えておく必要があります。例として、

  • 日本語の学習ができる機会や取組を支援する
  • 生活・就労に関する情報提供・相談を行う窓口を設置する
  • 外国人を受け入れられる医療・保険・福祉サービスを提供する

といった支援ができると良いでしょう。またそれに伴って、現行の就業規則も変えなければならなくなるケースもあります。

文化や慣習の違いで日本人社員と衝突する恐れがある

日本人との文化や慣習の違いから、思わぬトラブルが発生してしまう可能性も考慮しておきましょう。例えば挨拶をする習慣のない国の出身者は職場に黙って出勤・退勤をするケースがありますし、宗教的に禁止されている食べ物がある場合もあります。日本は世界的に見て残業の多い国ですので、定時になったら当たり前のようにすぐに帰宅しようとする外国人もいるでしょう。

あるいは、日本にはやんわりと意思表示をする、俗にいう「空気を読む」「忖度する」といった習慣がありますが、外国人にはあまり理解がされません。

外国人従業員と良好な関係を築くために、これらの文化や慣習の違いを理解して、お互いの価値観を尊重するように気を付けましょう。

言葉の違いでコミュニケーション不足に陥る恐れがある

外国人と一緒に働く上では、まず頭によぎる懸念が「言葉の問題」ではないでしょうか。お互いに母国語が違うので、微妙なニュアンスが伝わりにくかったり、伝わっていると思っていても誤解をしていたりします。

こういったトラブルを防ぐために、コミュニケーションの仕方の工夫が重要です。例えば会話をする際には口頭だけでなくジェスチャーも交えて伝えると良いでしょう。または事前に翻訳アプリや電子辞書などのツールを用意しておくのも有効です。

また、日本人特有の遠回しな言い方も、外国人には伝わりにくいので出来るだけ避けた方が無難です。「できればお願いしたいのですが」「比較的問題ないと思います」といった曖昧な言い方は外国人を混乱させます。ストレートではっきりした表現を使いましょう。数字を用いて説明したり、5W1Hを意識して「いつまでに」「だれが」「何を」という観点を忘れずに伝えたりするのも良いでしょう。

外国人雇用のトラブル

外国人を雇用すると日本人の雇用にはないトラブルが起きることが想定されます。
実際にどんなトラブルがあるのか見ていきましょう。

  1. 外国労働者との挨拶や報連相のコミュニケ―ジョン問題
  2. 給料やボーナスについてオープンに話す文化の違い
  3. 残業を一切してくれない
  4. 転職に対する意識の違い
詳しいトラブルの内容と対応のポイントについては下記の記事を参照ください。

まとめ

以上が外国人を採用する際のメリットと課題・注意点です。
もちろん良いことばかりとも限りませんが、想定される課題点を理解し、事前にしっかりと準備しておくことが重要です。少しでも改善していきましょう。

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