技能実習法等改正法案(育成就労法法案)完全ガイド

2024年3月15日に閣議決定され、国会審議が始まった「技能実習法等改正法案(育成就労法法案)」について解説いたします。

技能実習法等改正法案(育成就労法法案)完全ガイド

目次

  1. 技能実習法等改正法案(育成就労法法案)の分析について
    1. 日本ではどのくらいの外国人が働いているのか
    2. 制度見直しの進行・最終報告書の位置付け
    3. 追加・拡大された産業分野について
    4. 育成就労の運命論について
    5. 育成就労制度における関係者の相関
  2. 技能実習法と育成就労法の構造
    1. 技能実習法の変更
    2. 育成就労法の変更
    3. 育成就労の計画について
    4. 監理支援機関の許可基準について
    5. 育成就労制度の人材育成の内容
    6. 産業分野の概念
    7. 特定技能制度の歩み
    8. 特定技能1号の産業分野まとめ
    9. 職種・作業、産業分野・業務区分について
  3. 転籍について
    1. 育成就労法案における計画認定の種類と認定基準
    2. 転籍のメカニズム(監理型育成就労)
    3. 育成就労法法案の概要
    4. 未定な重要論点
    5. 技能実習と育成就労の制度比較
    6. 経過措置(施行日を2027年4月と仮定した場合)
    7. まとめ
  4. 技能実習法等改正法案(育成就労法法案)Q&A

1.技能実習法等改正法案(育成就労法法案)の分析について


1-1 日本ではどのくらいの外国人が働いているのか

現在、在留外国人の数は322万人に達し、1年間では22万人が増加しています。
これは茨城県の人口を上回るほどの外国人が日本で働き、群馬県の太田市や宝塚市、佐賀県の佐賀市と同じくらいの人口が毎年増加しているというイメージです。
このように着実に増加する外国人雇用において重要な役割を果たす制度が、「技能実習」と「特定技能」です。


1-2 制度見直しの進行・最終報告書の位置付け

2022年12月14日に第1回 有識者会議が開催され16回にわたり議論を重ねた後、2023年11月30日に最終報告書が提出されました。2023年12月14日および21日に与党である自民党と公明党からも意見が上がり、政府は最終報告書と与党の提言を考慮したうえで2024年2月9日に政府方針を決定します。さらに2024年3月15日に閣議決定が行われ、同日に法案が提出されました。なお政府は、有識者の方々に技能実習や特定技能の改革に関する意見を求め、これに基づいて改正を進める方針を取っています。

現在、通常国会の会期(2024年1月26日~6月23日まで)であることから、この期間中に法務委員会などで審議が行われる予定です。この法案が成立した場合、施行は3年以内に行われる見込みなため、例えば6月に成立した場合、2027年6月に施行されるでしょう(キリの良いところで考えると2027年4月頃になる可能性が高い)。したがって3年間で法案の施行に向けた準備が進められ、育成就労制度が導入されることになります。また、2024年3月29日に閣議決定と並行して2024年3月31日までの人数枠設定がありました。そこでは新たに5年分の82万人枠が設定され、運用開始は2024年4月1日からです。人数枠設定は産業分野ごとに設定するため、産業分野を追加する場合はこの段階で追加する必要があります。


1-3 追加・拡大された産業分野について

新たに追加された4分野は、自動車運送業、鉄道、林業、木材産業です。そして3業務区分が10業務区分に拡大されたのは、工業製品製造業、電気電子産業機械、素形材産業です。さらに飲食料品製造業(スーパーのバックヤード等)の産業分野も82万人枠、16産業分野に拡大されています。
今回の改正第1陣で対応できなかった産業分野については、概ね育成就労を始める際に人数枠の見直しが必要なため、並行して産業分野の追加についても議論することになるでしょう。産業分野の追加を他の時期に行うと人数枠とのズレが生じてしまい再び人数枠の見直しが必要になる可能性があります。したがって2027年の育成就労が開始されるタイミングで新たな産業分野の追加が再び行われるのではないでしょうか。さらに実現した場合、産業分野は130~140万人枠、育成就労は50~60万人枠で開始するものと考えます。


1-4 育成就労の運命論について

育成就労制度の運命論とは、育成就労という在留資格が背負う運命や制約に関する理論や考え方を指したものです。この運命論を紐解くには、2019年4月に創設された特定技能1号と特定技能2号の入管法改正が重要な役割を果たしています。

まず2019年4月に創設された特定技能2号という在留資格は、特に目新しいものではありませんでした。なぜならあくまでも高度専門職、技人国、介護、技能、経営管理の横に、同じレベルでもうひとつ在留資格を増やしたに過ぎず、従来の専門的・技術的分野とレベル的には変わらないからです。これらはすでにスキルを持っている人材ということになります。
では、2019年4月に創設されたもので何が目新しかったかというと、特定技能1号が創設されたことです。特定技能1号の特筆すべき点は、スキルの基準を下に広げたことです。従来スキルを持っている人だけが認められていましたが、セミスキルや中級の技能を持つ人々も専門的・技術的分野として認められるようになりました。専門的・技術的分野の幅を下に広げたということです。しかし2019年4月に超えなかったのは、技能自習についてです。非専門的・技術的分野ではない、技能実習には手をつけなかったというのが2019年4月の入管法改正です。

今回の改正で変更されるのは、専門的・技術的分野ではない技能実習を、育成就労に変更する部分です。専門的・技術的分野ではない分野に今回は手を入れるということです。

実は専門的・技術的分野と非専門的・技術的分野には大きな違いがあります。

まず第9次雇用対策基本計画には、専門的・技術的分野の労働者は積極的に受け入れていく方針が示されています(第9次雇用対策基本計画は旧雇用対策法の改正によって解消されましたが、これは最新の基本計画です)。同じく出国在留管理基本計画の中でも、日本の経済社会の活性化に資する専門的・技術的分野の外国人については積極的に受け入れていく方針が示されています。したがって特定技能1号についても積極的に受け入れていくということです。
一方で第9次雇用対策基本計画の中でも、非専門的・技術的分野の労働者の受け入れについては「慎重に対応する必要があり、出入国在留基本計画においても幅広い観点からの検討が必須であり、この検討は国民的コンセンサスを踏まえつつ行われなければならない」と示されています。すなわち、従来日本が行ってきた外国人雇用政策からすれば、育成就労の非専門的・技術的分野の水準で留まる労働者は受け入れることができないということ、そして現在、40万人もの技能実習生を受け入れていることについては、あくまでもインターンや国際貢献の一環であり労働者の受け入れではないという趣旨なのです。しかし、この育成就労は明らかにスキルディベロップワーカー(就労者)ですから、非専門的・技術的分野で就労人材を受け入れるためには、育成就労という制度は、あくまでも専門的・技術的分野である特定技能1号の人材輩出が目的であることから長期間育成就労の中で働き続けるわけではない、すなわち受け入れが可能というロジックを作らなくてはなりません。このロジックに基づいて導き出される育成就労の運命論というのは、特定技能1号の人材育成・輩出する制度ですので、特定技能1号における仕事内容や基本的な制度は特定技能と共通しています。
※第9次雇用対策基本計画や出入国在留管理基本計画に記載されています。

1-5 育成就労制度における関係者の相関

【技能実習制度の流れ】

①技能実習生の候補者が日本で働くことを希望した場合、職業能力や言語の訓練を提供してくれる送り出し機関と契約する
②日本側の受入企業(実習実施者)は、実習の実施方法について監理団体と契約を結ぶ
③監理団体が技能実習法27条に基づき実習生と実習実施者の間で技能実習職業紹介事業を行う

【育成就労制度の流れ】

①育成就労外国人が日本で働くことを希望した場合、送り出し機関を通じて監理支援機関と契約を結ぶ
②監理支援機関は、育成就労実施者と育成就労外国人について雇用契約の成立の斡旋を行い、育成就労法27条に基づき育成就労職業紹介事業を行う(雇用契約は育成就労計画認定を受けた条件に基づいて成立し、雇用条件は計画に記載された内容に従う)

【監理団体の主要な機能】

2017年4月1日以降、無料職業紹介事業の許可申請で行われていましたが、監理団体の許可が認められたことで、技能実習職業紹介事業という特別な職業紹介については監理団体が行えるようになりました。すなわち監理団体は実習生と実習先のマッチングを行えるようになったのです。

  • 技能実習生と職業紹介について雇用契約の成立の斡旋やマッチングを行い、それに応じた技能実習計画認定を、機構を通じて受けた後に支援を提供する
  • 計画認定を受けて実際に雇用契約が発効し実習が開始されると監理団体は実習監理を行う(初年度は月に1回の定期訪問、2年目以降は3ヶ月に1回の監査)

※監理団体の機能や計画認定に関しては、入管庁と厚生労働省が共同管理している技能実習機構に業務を委託している
※送り出し機関の許可に関しては、各送り出し国政府が政府認定の送り出し機関かどうかの確認や許可を付与している(送り出し国政府と日本政府は、MOC(合意文書)を通じて協力している)

2.制度見直しの進行・最終報告書の位置付け

2024年3月15日に育成就労法法案が公表されたことで様々な事項が明らかになりました。
新しい法律を作るのではなく技能実習法を改正して育成就労法に移行することで技能実習法がどのように変化するのか、そして各構造について解説していきます。


2-1 技能実習法の変更

人材紹介会社が募集した登録者の中から、企業からの依頼に沿う登録者を紹介するサービスです。
幅広い職種・業種を取り扱う「総合タイプ」、特定の専門職種・業界に特化した「専門タイプ」があります。
多くの人材紹介会社はこの形態のため、人材紹介会社サービスの種類について詳しく記述がない場合は一般紹介・登録型のケースが多いです。

【規定の変更】

  • 第1章 総則…1条~7条に加えて、7条の2(分野別に関する方針の策定についての条文)が追加された
  • 第2章 技能実習…技能実習が育成就労に変更された
  • 第3章 外国人技能実習機構の組織に関する規定…外国人技能実習機構が外国人育成機構に変更された
  • 8条~22条 技能実習計画…8条以下の技能実習計画が育成就労計画に変更された。さらに23条以下の監理団体が監理支援機関に変更された
  • 46条~49条 技能実習性の保護やパスポート(預かってはいけない等)…46条以下の技能実習生の保護が育成就労外国人の保護に変更された

以上の規定が改正されることで、正式名称が変更されます。

変更前の正式名称:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習性の保護に関する法律(技能実習法)
変更後の正式名称:外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律(育成就労法)


2-2 育成就労法の変更

【規定の変更】

  • 第1章 総則…目的規定に育成就労産業分野における人材確保が追加された(技能等の一定による国際協力の推進は削除)
  • 32項…基本理念の変更に伴い、技能実習法で設けられていた、「技能実習は労働力の受給の調整の手段として行われてはならない」いわゆる受給調整手段としての利用禁止の条項が削除された

育成就労法が導入されても“基本的な構造は変わりません”
とはいえ転籍のメカニズムや職種の対応などの実務的部分は変更されます。

【定義の変更】※重要な部分のみ抜粋

技能実習制度 育成就労制度
技能実習 育成就労
企業単独型技能実習 単独型育成就労

※産業分野外については、おそらく企業内転勤2号(新設)の枠組みで行われる
育成就労産業分野(新設)
団体監理型技能実習 監理型育成就労
労働者派遣等育成就労産業分野(新設)

※派遣が可能になった
技能実習生 育成就労外国人
企業単独型技能実習生 単独型育成就労外国人
団体監理型 監理型育成就労外国人
技能実習実施者 育成就労実施者
実施者(単独型) 単独型育成就労実施者
団体監理型 監理型育成労実施者
実習監理 監理支援
監理団体 監理支援機関

2-3 育成就労の計画について

今回の改正では、育成就労外国人ごとに育成就労計画を作成し、かつ機構の認定を受ける必要がある部分は変更されていません(計画型の在留資格)。転籍に関する部分については転籍する場合と一度本帰国してから再度来日する場合の2つのパターンが設けられ、新規の育成計画の場合は転籍時の育成計画の認定または再度来日時の育成計画の認定が必要になります。また、育成就労実施者について変更を希望する場合は変更申請が認定される構造になっており、さらに転籍時の要件や移動費用、送り出し機関との費用分担なども計画認定の中に組み込まれています。なお転籍を希望する場合の申請先は、技能実習機構、監理支援機関、または育成就労実施者のいずれでも構いません。ただし受理した側は各関係者に通知しなければならず、これを怠ると罰金の対象になるため注意が必要です。


2-4 監理支援機関の許可基準について

①本邦の営利を目的としない法人であって主務省令で定めるものであること
②監理支援事業を適正に遂行するに足りる能力を有し主務省令で定める基準に適合しているものであること
③監理支援事業を健全に遂行するに足りる財産的基礎を有するものとして主務省令で定める基準に適合しているものであること
④個人情報を適正に監理し、並びに監理型育成就労実施者等及び監理型育成就労外国人等の秘密を守るために必要な措置を講じていること
⑤監事その他法人の業務を監査する物による監査の他、監理型育成就労実施者と主務省令で定める密接な関係を有しない者であって、職務の執行の監査を公正かつ適正に遂行することができる知識又は経験等を有すること、その他主務省令で定める要件に適合するものに、主務省令で定めるところにより、役員の監理支援事業に係る職務の執行の監査を行わせるための措置を講じていること。
⑥外国の送出機関から監理型育成就労の対象となろうとする外国人らの監理型育成就労に係る求職の申込みの取次ぎを受けようとする場合にあっては、外国の送出機関との間で当該取次ぎに係る契約を締結していること
⑦前各号に定めるものの他、申請者が、監理支援事業を適正に遂行することができる能力を有するものであること

気になるポイント

  • 一般特定の区分がなくなった代わりに外部監査の義務が課せられている
  • 斡旋に関しては、育成就労法27条に基づき育成就労職業紹介事業として行われるため、監理支援機関がマッチングを行う構造は変化していない
  • 監理費の徴収に関しては、育成就労法28条に基づいて行われる等、基本的な部分は変化していないが実務上の関心事は主務省令に委ねられている
  • 技能実習評価試験が育成就労評価試験に変更されている

今回の改正では、産業分野ごとに枠が設定されるため、枠を超えた場合の対処も考慮されています。具体的には育成就労計画の認定を停止する扱いになりますが育成就労の本質は変わらないでしょう(条文8条~56条)。
以上のことから、営利目的を持たないことや外部監査人の義務については理解できましたが重要な部分に関しては未定のままです。


2-5 育成就労制度の人材育成の内容

育成就労制度では段階的に日本語能力を習得していくことが必要です。
就労開始前には、N5または相当講習、育成就労1年経過では、基礎級とN5の取得が求められます。
育成就労2年目を終了すると3年目の終了までには技能検定3級の合格または特定技能1号評価試験の合格とN4の取得が求められます。これらの条件を満たすと特定技能1号に移行することができるのです(運命論の目的達成)。
さらに8年経過すると特定技能2号の可能性が見えてくるのですがこの段階では、N3の取得と技能検定1級の合格が求められます。

  • ポイント1 日本語能力
  • 一部の業種、例えば外食業や漁業などには日本語能力に対応する部分が存在しないとされますが、他の業種にはこのような対応がないため、段階的な日本語能力の習得が確実に測定されていると言えるでしょう。

    気になる点として、1年経過した時点で試験に合格できなかった場合、次の段階へ移行できるかどうかについて明確な決定が出ていないことです。1年経過した時点での浪人について明確に記載されていないことや有識者会議の議論を推測すると3年目時点での浪人が可能になるかもしれません。

  • ポイント2 職種
  • 技能実習制度と特定技能制度ではそれぞれ職種の考え方が存在します。

    技能実習制度に関する職種の考え方は、仕事の内容だけを重視し産業分野を考慮するという発想はありません。具体的には「どのような職種なのか」、「明確な職種作業があるのか」という職種と作業の観点で受け入れが可能でした。

    特定技能制度に関する職種の考え方は、仕事の内容は業務区分として定められています。さらに産業分野ごとの受け入れ枠や産業分野ごとに不足している人材を確保するという観点も考慮されます。


2-6 産業分野の概念

産業分野と仕事の内容が一致しなければ特定技能の受け入れはできません。このように特定技能と育成就労は同じ考え方を共有しています。

特定技能の産業分野の中に育成就労産業分野が置かれることが法案で明らかになりました。
※特定産業分野のうち、外国人にその分野に属する技能を本法において就労を通じて習得させることが相当であるものは主務省令で定める分野となります。

さらにその中に、労働者派遣等育成就労産業分野として派遣ができる育成就労産業分野が設けられることになりました。すなわち労働者派遣が認められる分野が設定されるということです。
※育成就労産業分野のうち、外国人にその分野に属する技能を本法において就労を通じて習得させるにあたり、季節的業務に従事させることを要する分野であって、当該技能を労働者派遣等による就労を通じて習得させることができるものとして主務省令で定める分野となります。

最も外側は特定技能の産業分野であり、その中に育成就労産業分野が含まれ、さらにその中に労働者派遣と育成就労産業分野が位置付けられる構造となります。しかし基本的な構造は理解できたものの、具体的な産業分野については不明です。


2-7 特定技能制度の歩み

現在の産業分野は、2019年3月29日に閣議決定され、追加されることになりました。
一方で特定技能は、2018年12月4日の入間法改正によって導入され2019年4月1日に開始されました。当初は14産業分野34万人枠が設けられていましたが、2022年4月26日に3産業分野に分かれていた製造業の素形材、産業機械、電気・電子は1産業分野に、並行して業務区分も19業務区分に統合されました。この統合により人数枠も3万2450人枠に変更され、2022年8月30日には人数枠の再配分が行われました。これは製造業の素形材、産業機械、電気・電子が人数枠を超えたためです。全体の人枠数は34万人枠のままですが、受け入れが進んでいない分野から進んでいる分野へ枠を移動し、各産業分野の枠の見直しを行いました。その際、農業の枠数だけが変更されていません。また、人数枠の見直しに加えて業務区分も細分化されました。例えば製造業の機械金属加工、電気電子機器組立、金属表面処理が19業務区分から3業務区分に統合され、同じく建設業も19業務区分から3業務区分に統合されています。そして、2023年6月9日に特定技能2号の追加が閣議決定され、建設業において一部対象の造船・舶用工業とこれまで対象外だった業務区分が追加されました。また、介護業を除く部分については特定技能2号が追加され、2024年3月29日に4産業分野の追加と2産業分野の拡大、そして人数枠の見直しが行われました。
素形材、産業機械、電気・電子は工業製品製造業に変更され、3業務区分が10業務区分に拡大されました。造船・舶用工業は6業務区分が3業務区分に統合され、追加について国交省分野として自動車運送業3業務区分2万4500人枠、鉄道業5業務区分3800人枠が追加されました。その際、飲食料品製造も拡大されています。なお、農林水産省分野として林業・木材がそれぞれ1000人枠に拡大され合計82万人枠となっています。


2-8 特定技能1号の産業分野まとめ

【変更箇所】(重要な部分のみ抜粋)

工業製品製造業は10業務区分に変更され、紙器段ボール箱製造、コンクリート製品、RPF(再生可能な木材繊維)、陶磁器、印刷製本、紡織縫製などが追加されました。さらに工業製品製造業、すなわち製造分野と飲食料品製造の産業分野の該当性に関しては日本標準産業分類が使用されています。この日本標準産業分類とは、企業が協議会に加入する際に必要とされる出荷額の基準を示します。したがって、4桁の番号で表示される工場出荷額が一定の基準を満たしているかどうかを確認することが求められ、この基準を満たさない場合、特定の分野に受理されない可能性があるため、この日本標準産業分類も追加されたものと思われます。追加されるという意味では飲食料品製造がまさにその部分です。上乗せ基準告示で定めている事業所に関しては日本標準産業分類に基づいており、スーパーマーケットのバックヤードは飲食料品製造に追加されました。
造船舶用工業は3業務区分に変更され、造船、舶用機械、舶用電気電子機器が追加されました。さらに自動車運送業も追加され、トラック、タクシー、バスの3業務区分が含まれています。それぞれに対して特定技能1号評価試験と第1種運転免許が必要なうえ、バス、タクシーには第2種運転免許も必要です。なお日本語能力に関しては、トラックはN4、バスはN3が必要です。
鉄道分野は5業務区分に変更され、機動整備、電気設備、車両整備が追加されました。車両製造に関しては、中分類31輸送用機械器具製造のうち鉄道製造については解禁され運輸係員となっています。日本語能力に関して運輸係員以外はN4、運輸係員はN3が必要です。それぞれに特定技能1号評価試験と製造部分については技能検定3級が適用されます。
林業木材は、1業務区分の林業と1業務区分の製材が追加されています。


2-9 職種・作業、産業分野・業務区分について

上乗せ基準告示が改正された場合、5611総合スーパーだけでなく5811食料品スーパーが追加されるでしょう。したがって食品系スーパーマーケットのバックヤードで行われている洋菓子や和菓子の製造なども特定技能により5年間の受け入れが可能になります。

飲食料品製造は基本的に何でもできるということでかなり細分化されています。繊維・衣服に関しては、縫製と紡織が追加されたため、工業製品製造業として網羅されました。製造業においても工業製品製造業として4桁の番号が追加されるでしょう。このように日本産業分類さえ該当すれば認められる範囲が拡大されているため、その他の分野にあった、印刷製本、紙器段ボール箱製造、陶磁器、コンクリート製品、RPFの追加にも期待ができます。他には、鉄道の敷設整備や鉄道車両整備、木材加工なども鉄道と木材に追加されるでしょう。
残る職種問題としては、家具、強化プラスチック、リネン、ゴム、ボイラーメンテナンスと1年職種があります。特に工業包装は、技能実習では仕事の内容だけを考慮するため、例えば梱包だけを行っている場合でも工業包装に該当しますが特定技能では製造業に分類されるため、梱包対象の製品を作っていない場合は特定技能の対象外となります。これは自動車も同じです。

3.転籍について


3-1 育成就労法案における計画認定の種類と認定基準

育成就労計画の認定基準には、新規の認定、転籍時の認定、再認定の3つのパターンがあります。新規の計画認定申請に対する基本的な認定基準は共通していますが、転籍時には特定の条件が必要です。なお、移籍金や送り出し機関との費用分担に関する話題は、基本的にこの認定基準の中に含まれます。
例えば送り出し機関の費用分担については、「外国の送り出し機関からの取次ぎを受けた外国人にかかるものである場合は、当該外国人に支払った費用の額が、育成就労外国人の保護の観点から適切なものとして主務省令で定める基準に適合していること」が求められます。

転籍の要件は、原則3年以内、かつ同じ仕事であることは共通しています。ただし本人意向の転籍の場合は、①1年以上2年以下であること②産業分野で定められている期間就労したこと③日本語と技能試験に合格していること④育成就労の実施に関する実績、育成就労外国人の育成にかかる費用の負担能力その他育成就労適正に実施するための必要な事項に関して主務省令で定める基準に適合していること(移籍金支払いの資力基準)、これらの基準を満たせば計画認定が行われるという構造です。

再度の認定は、計画の取り消しになった場合、もしくは2年以下で一度帰国する場合に発生します(2年以下で帰国する場合は特定技能3号の適用がありません)。これは2年以下で一度帰国し、別の産業分野に移る場合に計画をやり直すことができる制度設計です。
また、計画認定を受けた後に実施者の影響で一時的に計画が取り消された場合や別の場所で計画認定を受ける場合も再度の計画認定が行われます。なお転籍の要件や移籍金の取り扱いについては、計画認定基準の中に明記されています。ただし、これらの内容は基本的に主務省令によって定められているため、残念ながらこれ以上の詳細は分かっていません。


3-2 転籍のメカニズム(監理型育成就労)

・育成就労外国人が現在の実施者(育成就労を提供する組織)を変更したい場合の手続きについて

申請先は、育成就労機構、監理支援機関、直接雇用主(育成就労実施者)のいずれに対しても行えます。
例えば監理支援機関が申請を受理した場合は、育成就労機構と実施者にも通知しなければなりません。または実施者が申請を受理した場合は、監理支援機関と派遣先にも通知します(共同で実施している場合)。このように各関係者間で通知が行き来し、情報が共有されます。そのうえで監理支援機関が雇用契約の成立の斡旋、育成就労職業紹介事業でマッチングを行い、次の計画認定を受けて転籍が可能となります。ただし、通知や届け忘れは罰則の対象となるため、事前に事務的な対策を講じることが重要です。


3-3 育成就労法法案の概要

・条文の第3章(第57条~第102条)

技能実習機構が再編され新たに育成就労機構となります。権利と義務については育成就労機構が承継し、機構実施職業紹介事業を行うことになります。これはハローワークや地方運輸局と連携し、転籍の支援を行うということでしょう。特定技能者に関しては、相談対応や情報提供、援助業務も行います。罰則については、転籍を受理した後の届出義務違反、通知義務違反には30万円以下の罰金が科されます。


3-4 未定な重要論点

転籍のメカニズムや計画認定の基準は理解できましたが、重要な論点で未定な部分も多く存在します。

育成就労産業分野、労働者派遣と育成就労産業分野、入国後講習の有無や内容、法人ごとの人数枠、移籍金の方法、訪日費用の分担方式、転籍時のやむを得ない事情、本人意向転籍の雇用期間の上乗せの有無、本人意向転籍の日本語・技能の上乗せの有無、監理支援機関の許可の具体的な内容 等
※現状、主務省令で定められている


3-5 技能実習と育成就労の制度比較

項目 技能実習 育成就労
制度目的 国際貢献、人材育成 人材育成、人材確保
在留資格 技能実習 育成就労
在留期間 1号:~1年
2号:~2年
3号:~2年
原則通算3年
※更新はおそらく1年毎の6月
監督機関 ※1 あり(技能実習計画) あり(外国人育成就労機構)
職種 移行対象職種・作業(または1年職種) 育成就労産業分野、業務区分の範囲
計画 ※2 あり(技能実習計画) あり(育成就労計画)
就労開始時点の
技能
なし なし
就労開始時点の
日本語
なし(介護はN4) 原則A1(N5等)(分野により上乗せ可能)または相当講習
人材育成の内容 1号の修了時:技能検定基礎級
2号の修了時:技能検定随時3級
1年目の終了時:A1(N5等)、技能検定基礎級等
3年目の終了時:A2(N4等)、技能検定随時3級等
送出機関 政府認定送出機関 職安法に基づき必要な範囲となり、政府認定送出機関である必要はないと思われる。
監理団体 あり(監理団体) あり(監理支援機関)
マッチング 監理団体 監理支援機関
産業分野の人数枠 なし あり
受入機関の人数枠 あり あり
転籍 原則不可(やむを得ない場合または2号から3号への移行時は可能) 以下の2つの方式による転籍が可能
・やむを得ない事情がある場合の転籍
・本人の意向による転籍
国内で他の在留資格からの変更 想定されていない 可能と思われる
派遣 不可 農業・漁業は可能であると予想する

※1 技能実習機構は外国人育成就労機構に変更されます。
※2 技能実習計画は就労計画に変更されます。


3-6 経過措置(施行日を2027年4月と仮定した場合)

施行の準備期間中は、技能実習の受け入れが可能です。この期間に入国した場合、原則2号の終了まで滞在が許可されますが3号に移行できるかどうかは主務省令に委ねられているため分かりません。ただし、施行日に技能実習を実施中だった場合は2号まで移行することができます。
問題は仕掛り中のものです。仕掛り中とは、計画認定申請中、計画認定されたが在留資格認定証明書の交付申請前の状態のもの、そして在留資格認定証明書の交付申請中のものをいいます。これらの仕掛り中のものについては、3ヶ月以内に全てが揃った状態で入国すれば問題がないように整理されました。したがって3ヶ月以内に入国した場合、2号まで(3年間)は滞在が許可されます。概ね2030年まで技能実習生がいると考えられ、それらの方々は従来通りの在留資格「技能実習」が継続できることになります。


3-7 まとめ

〇基本的な制度構造が判明した

  • 育成就労法法案が提示されたことで、制度の骨子が判明した。
  • 育成就労計画や監理支援機関等、技能実習制度で採用された雇用許可制類似の制度に特定技能制度の職種の考え方が取り組まれた制度となっている。

〇重要な論点が主務省令に委任されている

  • 入国後講習の有無や内容、移籍金の方式、訪日費用負担の方式、監理支援機関の要件等、重要部分が主務省令に委任されている。
  • 引き続き、主務省令の内容を注視する必要がある。

4.技能実習法等改正法案(育成就労法法案)Q&A

①育成就労制度の転職制限の年数と要件について

転職要件に関する年数は、育成労働計画の認定基準で制限されています(1~2年間の就労が必要)。ただし具体的な産業分野や期間については、主務省令に委ねられているため現時点では未定です。

②転籍の初期費用負担について

具体的な初期費用については、主務省令に委ねられているため現時点では未定です。

③育成就労制度と特定技能制度の適用職種の変化について

特定技能の特定産業分野の中の一部を育成就労産業分野として扱うことになりました。仕事の考え方としては、特定技能に合わせるということが明確になりましたが、特定技能のうち育成就労の産業分野として扱う部分については未定です。育成就労の産業分野として扱わない可能性が高い分野は閣議決定で追加された自動車運送業です。

④監理育成機関許可要件、申請方法等について

外部監査人は置かなくてはならないことは明確になりましたが主要な部分については、主務省令に委ねられているため現時点では未定です。

⑤育成就労の斡旋業務は民間に開放されるのか

株式会社が育成就労の斡旋業務ができないことが確定したため、民間には開放されません。

⑥技能実習の介護固有要件について

主務省令に委ねられているため現時点では未定です。

⑦育成就労中に試験に合格すればいつでも特定技能1号に移行できるのか

試験に合格し、かつ転籍の要件を満たせば特定技能1号に変更できると考えられます。

⑧パブリックコメントの最短開始時期について

年内には実施される可能性があります。おそらく4ヶ月程度で実施されるでしょう。

⑨自動車部品プラスチック成型などは職種に入るのか

4桁の番号がプラスチック成型のものは該当します。ただし、4桁の番号が31から始まる輸送用機械器具製造の部品に該当したものについては該当しません。したがって4桁の番号次第です。

⑩監理支援機関の許可要件には外部監査人の設置のみと表現されているが、今後新たな許可要件は出るのか(企業数、職員数、通訳数、資産など)

出る可能性があります。特定技能2号での監理支援機関としての組織要件については、主務省令で定められると考えられます。

⑪育成就労制度の施行までに飲食料品製造分野と水産加工業の区別を検討中とのことだが、新たな分野での追加が検討されているのか

水産加工業が新たな産業分野として追加される可能性があることを意味します。飲食料品製造分野と水産加工業を産業分野として区別する議論の背景には、低賃金の水産加工業を飲食料品製造分野にまとめたことで、他の分野に人材が流出する可能性があるという問題があります。実際に区別されるかどうかは未定ですが業務区分としてではなく産業分野として別の扱いになるかもしれません。

⑫従来の監理団体と送り出し機関との間で締結された協定書は無効とされ、新たに協定書を締結することになるのか

通常、技能実習に限定した取次ぎ契約が結ばれていると考えられるため、契約が無効になるわけではありませんが使用されなくなる契約が残ることになります。したがって技能実習の際に協定書が作成されている場合は育成就労に移行する際に再度協定書を締結する必要があります。ただし汎用的な在留資格に関わらず作成されている場合はそのまま使用できる可能性もありますが、育成就労の要件を満たさなければならない場合もあるため、再度契約を結び直すことが望ましいでしょう。

⑬監理支援機関~許可申請~認定までの最適な申請開始日程について(施行日を2027年4月と仮定した場合)

現在、申請から許可までに約6ヶ月かかっているため、最適な申請開始時期は施行日の約1年前程度だと考えられます。

⑭百貨店の食品売場は追加されるのか

総合スーパーと百貨店が同じ日本標準産業分類の番号であれば百貨店の食品売場の裏側での加工も成立する可能性があります。ただし、上乗せ基準告知の改正によって明確化されると考えられます。

⑮自動車メーカーや自動車部品会社は特定技能と育成就労の受け入れはできないのか

31輸送用機械器具製造に分類される事業所での受け入れはできません。ただし汎用性の高い部品である場合や産業機械器具製造に分類されるプラスチックなどの部品については該当します。

⑯グラハン(グランドハンドリング)は社内検定型のまま変更されないのか

グラハンについては評価試験が実施されています。これまでの技能実習は企業単独型のみでしたが特定技能の特定産業分野に指定された場合、育成就労に移行することで通常の試験に加えて育成就労の評価試験も実施されることになるでしょう。したがって企業単独型のみではなくなると考えられます。

⑰育成就労の需要が増加し、特定技能の受け入れペースが鈍化する可能性について(育成就労から特定技能1号までのルートは8年間働けるため、育成就労が特定技能よりも魅力的に映る可能性がある)

労働条件の良い場所では特定技能でも転籍しないことが魅力的に感じるかもしれませんが実際の動向は予測が難しいです。また育成料の事務手続きの増加も懸念されます。したがって特定技能と比較してどちらが促進されやすいかは、主務省令を含めて全ての条件を総合的に考慮しないと判断が難しいです。

⑱産業分野の区分において、住宅建材製造及び飲料・液体用器・ペットボトル製造(プラスチック成型)などは工業製品として含まれるのか

アルミサッシは含まれると示されていたため、日本標準産業分類上では一部の住宅建材が含まれると考えられます。プラスチック成形のペットボトルについては日本標準産業分類を確認しない限り分からないです。住宅建材に関しては、おそらくアルミサッシが含まれます。飲料・液体用器、ペットボトル製造についても日本標準産業分類や上乗せ基準告示が改正されれば、それに基づいて該当するかどうか判断できるでしょう。

⑲外部監査人が行う業務について

現在は3ヶ月に1回の定期監査、年に5回の同行監査が行われていると考えられます。そのため定期監査が行われた後に同行監査が行われる傾向が主流になると思われます。

⑳特定技能制度における支援委託を登録支援機関に限るという内容について、具体的に何が変更されたのか、またこれは企業内製化で一部の支援を委託するということか

従来は入管法で全ての委託を行っていたところが登録支援機関として登録できると示されていました。これにより委託先を登録支援機関に限定する形で改正される見通しです。一部支援を受託するという形で登録支援機関としての登録を受けていれば可能だと考えられます。

㉑転籍の届出期限について

入管法の届出は通常14日で行われることが多いため、おそらくその期間内に行われるでしょう。これも主務省令に委ねられていると思われます。

㉒年金の脱退一時金の要求に対する対応について

それぞれが雇用契約を終了し、困難時届と特定技能雇用契約の終了に関する届を提出します。その後、全ての社会保険を解約し、住民登録を抹消して出国手続きを申請・受理されたら、帰国後に特定技能契約の締結届を提出すれば手続きが完了します。ただし、この手続きに伴い一時帰国の要請が出されると一時帰国のための休暇の取得が必要になります。さらに本気国した際に有給休暇が1回リセットされるかどうか等、様々な考慮が必要です。

㉓育成就労法改正後に在留する技能実習生はどのような法で保護されるのか

従来通りの経過措置として対応されることになるため、育成就労法によって保護されると考えられます。

㉔建設分野におけるJACの受け入れ負担金はどうなるのか

JACでないと分かりません。

㉕育成就労から特定技能に移行する際の1年~2年縛りについては、育成就労法の規定は育成就労から育成就労に移行に関するものであることから、特定技能への変更に関する制限はないのか

従前の法律案では、育成就労の本人意向の転籍要件を満たし、かつ特定技能の試験に合格した場合に変更が可能と示されていることから、この規定は育成就労法の制約ではなく計画型の在留資格に関連するものだと考えられます。計画型の在留資格では、一度計画を立てたらそれを全うしなければならない原則相当性がないのです。入管法第20条の原則相当性がないという部分には、おそらく例外的に相当性を認める場合が転籍の要件、かつ特定技能の合格なのだと思います。まさに法の縛りで条文上明確に縛っている訳ではないものの、おそらくこれは相当性がないという風に処理されるのだと思います。

㉖リネンサプライの特定技能に該当するのか、またどのタイミングで判明するのか

新産業分野の追加がある場合、追加されるかどうかは育成就労の人数枠の設定時に判断されると思います。

㉗転籍時、監理支援機関の変更も可能なのか

おそらく可能です。

㉘今後、建設材料の溶接は該当するのか

具体的な職種作業が不明なため回答できません。

㉙移籍金について

本人意向の転籍時に発生する費用です。転籍先(新しい雇用主)が転籍元に支払う育成等の負担費用であり、初めて雇用した人の育成にかかったコストなどのことです。相場などの詳細は、主務省令に委ねられているため現時点では未定です。

㉚外国人が送り出し機関に支払う金額は誰が決定するのか、また金額に関する規制はあるのか

送り出し国ごとに規制があります。例えばベトナムの場合は日本での労働賃金3ヶ月分等(年数による)。規制の範囲内であれば契約によって金額が定められると考えられます。

㉛産廃、リサイクル業の追加について

特定技能の産業分野に新産業分野を追加する場合、まず業界団体が検討し、人手不足対策が必要と判断されれば、諸官庁に要請を行います。その後、諸官庁が必要性を認めると、制度所管省庁から法務省に対して要請が行われ制度が作成されます。

㉜監理団体として認可されている一般社団法人は、育成就労施行後の監理支援機関としても許可されるのか

おそらく6法人が旧法令下で運営されていた実績がありますが、それが維持されるかは微妙なところです。許可を取り直す必要があるため、具体的な見通しは分かりません。

㉝閣議決定などの情報参照先について

閣議決定の内容は入管庁のウェブサイトに掲載されています。

㉞育成就労制度に移行後、企業側(受け入れ機関)が外国人の雇用を継続したくない場合、監理団体などに転籍先を探してもらうことは可能か

非自発的離職者の要件が育成就労制度に適用されるどうかは不明ですが、少なくとも特定技能に該当する職場では通常非自発的離職が発生しません。そのため育成就労についても同様の適用が考えられます。したがって合意によって退職してもらうしかないかもしれません。有期雇用であることも考慮すれば非常に難しいと思われます。

㉟構内請負製造業で仕入れがなく協議会に参加できない場合、育成就労の受け入れはできないのか

協議会に参加できない場合、おそらく育成就労も不可能です。構内請負製造業であっても仕入型から仕入出荷型に変更し、工場出荷額を発生させないと難しいと思います。

㊱育成就労は協議会への加入義務があるのか

あると思います。今後の動向を迅速に把握するためには主務省令を注視することが重要です。
基本的に省令は、入間庁や厚生労働省のウェブサイトで公表されるでしょう。

㊲転籍時、監理支援機関の変更が可能になった場合の送り出し機関との新たな取次契約について

取次契約は、主に国外での職業紹介を基にしており、海外に求職者がいて日本に求人がある場合に成立します。したがって国内での転籍の場合、取り次ぎ契約は不要です。ただし現地との連絡調整として送り出し機関の調整が必要となる場合がありますが取り次ぎ契約は必須ではありません。転籍時に監理団体を変更すると、おそらく送り出し機関も変更され、送り出し監理費の支払いが停止される可能性があります。

㊳引っ越しなどの作業は運送業に分類されるのか

一般的には郵送業者などの緑ナンバーを持つ道路運送法上の輸送事業者であれば対象となります。
引っ越しについては、貨物として運送することが多いのであればトラックドライバーに該当する可能性があります。道路運送法に基づき緑ナンバーを持つ事業者が対象であり白ナンバーの場合は適用されません。

㊴認定取消や育成就労の在留資格の在留資格失効の場合、どのようなケースを想定しているのか

帰国している場合です。例えば“農業での適合性が低いことに気付き1年半で農業の育成就労を中断し帰国する”このような場合に育成就労の資格が失われます。2年以内に育成就労を再開しようとする場合は異なる職種を選択し、かつ3号の適用もないため、新たな産業分野での育成就労が可能です。

㊵港湾作業(荷役を運ぶ仕事)は、特定技能に該当するのか

現状は該当していないが、物流業は様々な産業分野での追加が検討されているため、港湾の業界団体で決議し、特定技能の必要性を、国土交通省を通じて法務省に要請を行えば追加される可能性があります。

㊶技能実習経験者も育成就労に参加できるのか

技能実習経験の期間が育成就労期間とみなされるため、通常3年間経験している場合は参加できません。ただし技能実習中に妊娠などの理由で途中帰国し、後日再度参加する場合には参加できる手当てが設けられています。

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