他業種技能実習生が介護特定技能資格を取得する最短の方法とは?

この記事では、他業種の技能実習生が介護特定技能資格の取得する最短の方法を中心に徹底解説しています。 人材不足に悩む介護事業所の方々には「他業種の技能実習修了者を採用できないか」と考えている人も多いのではないでしょうか。

他業種技能実習生が介護特定技能資格を取得する最短の方法とは?

目次

  1. 他業種の技能実習生が介護特定技能資格を取得する最短の方法とは?
  2. なぜ技能実習3年修了者が介護業界を目指すのか
  3. 他業種の技能実習生が介護業種の特定技能資格を取得する方法
  4. 介護の特定技能試験の詳細と最短で合格する方法
    1. 介護技能評価試験
    2. 介護日本語評価試験
    3. 介護の特定技能試験に最短で合格する方法
  5. 他業種の技能実習生が介護特定技能資格を取得するメリット
  6. まとめ

1.人材不足に悩む介護業界、介護業界に転職を望む日本在住外国人

人材不足に悩む介護事業所の方々には、「人材確保のために、なんとかして 特定技能『介護』の資格者を採用、雇用したい」「技能実習『介護』3年修了者がほとんどいないので、 他職種の技能実習修了者を採用できないか」などの意見が聞かれます。 日本に住む外国人の方々においても「他業種で技能実習生として働いているけど、介護の特定技能資格を 取得して働きたい!」「介護業界は今後需要が高まるから、特定技能の資格取得方法を教えてほしい」 などの声も多いようです。 この日本は世界一の超少子高齢化進行により要介護者が増え、介護業界のニーズは日に日に高まっています。 新たな在留資格「特定技能」の資格取得を経て、新たな職業として選択する人も増えているのが現状です。 心機一転、介護業界で活躍したいと考える外国人も年々上昇傾向にあります。 この記事では、他業種の技能実習生が介護特定技能資格の取得する最短の方法を中心に徹底解説していきます。

2.なぜ技能実習3年修了者が介護業界を目指すのか

出入国在留管理庁によると、令和2年末現在における日本在留外国人数は 258万2,686人で、うち技能実習生が378,200人を占めています。技能実習生の 全在留外国人に対する構成比は13.1%にも上っています。 また、新型コロナウィルスの蔓延により、祖国に帰国ができない技能実習生が多数おり、 技能実習生の中で特定技能資格を取得して引き続き日本で働くことを望む方が増えています。 しかし、令和2年3月の外国人技能実習機構の報告によると、技能実習生の職種別構成比は、 技能実習生全体366,167人に対して、

  1. 建設関係76,013人(20.8%)
  2. 食品製造関係68,843人(18.8%)
  3. 機械・金属関係58,819人(16.1%)
  4. 農業関係32,419人(8.9%)
  5. 繊維・衣服関係24,022人(6.6%)
  6. 介護8,967人(2.4%)

の順となっており、技能実習生が特定技能外国人となって就業を希望する職種と、 実際の技能実習3年修了人数に大きな乖離が見られます

この需要と供給の乖離について詳しく説明します。 転職ができない技能実習において、①建設関係76,013人(20.8%)④農業関係32,419人(8.9% )⑤繊維・衣服関係24,022人(6.6%)の3つの職種で36%以上を占めていますが、これら3つの職種は、過酷な労働環境であったり、収入が少ないことにより、ほとんどの技能実習生がかなり我慢をして技能実習をしている実態があります。 したがってこれらの職種については、技能実習3年修了者が無試験で同じ職種の特定技能資格を得られるとしても、 彼らが最も転職を希望しない職種でもあるのです。

そのような中で、①建設関係、④農業関係、⑤繊維・衣服関係の技能実習を3年修了した外国人は どうすればよいでしょうか。 彼らは、過酷な労働環境ではなく屋内の勤務で、収入が安定しており、求人が多い職種に転職を希望します。 その一番理想的な職種が介護職というわけです。

前述の通り、介護業界は未曾有の人材不足に苛まれています。 経済産業省の推計では、介護人材は2025年には38万人が不足し、その10年後の2035年には約79万人もの人材が不足すると発表されています。 介護職は屋内勤務です。また介護事業者は国から介護報酬を得るために、厳しい条件をクリアしてとても遵法精神が高い経営をしています。そして人材ニーズが凄まじく多い。 だから、必然的に技能実習3年終了者は、その多くが職種を変えて介護業界を目指すことになるのです。

3.他業種の技能実習生が介護業種の特定技能資格を取得する方法

他業種の技能実習生が介護業種の特定技能資格を取得するには、まず前提条件として技能実習2号を良好に修了する必要があります。 つまり、技能実習3年を良好に修了する必要があります。その上で、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の2つに合格し、転職先を探す流れとなります。
一般的に特定技能資格を取得するにはもうひとつ「日本語試験」の合格が必要ですが、技能実習2号を良好に修了すれば日本語試験は免除されます。

また、技能実習2号を良好に修了するには、以下2点の条件を満たさなければいけません。

  • 技能実習を2年10ヶ月以上終了している
  • 実施者の評価書の基準が一定以上である

簡単に言うと「同じ部門で約3年まじめに働いて上司に評価される」ことができれば、技能実習2号を良好に修了できます。 本来であれば、技能検定3級への合格が条件に含まれていますが、上記の「実施者の評価書の基準が一定以上である」を満たしていれば、技能検定3級を合格せずに技能実習2号の修了とみなすケースが多いです。 そのため、現職の技能実習生から容易に介護職の特定技能へ移行できるわけではなく、まずは約3年間必死に頑張っていく必要があるでしょう。

4.介護の特定技能試験の詳細と最短で合格する方法

約3年間働き管理職からの評価が高いだけで、介護特定技能資格を取得できるわけではありません。 次のステップは介護の特定技能試験への合格を目指す必要があります。 他職種の技能実習3年修了者が特定技能「介護」の資格を得るためには、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の2つの試験に合格する必要があります。

4-1 介護技能評価試験

まず「介護技能評価試験」に合格するための試験の情報について見ていきましょう。

<実施場所>
下記のテスト環境が整った国

  • ネパール
  • カンボジア
  • ミャンマー
  • タイ
  • フィリピン
  • モンゴル
  • インドネシア
  • ベトナム
  • 日本国内

<実施日時>
各国のいずれかで毎月行っており、詳しくは厚生労働省の専用ページ で公開されていますので、確認しておきましょう。

<試験科目>
試験時間60分 問題数45問

  • 学科試験:40問
介護の基本 10問
こころとからだのしくみ 6問
コミュニケーション技術 4問
生活支援技術 20問
  • 実技試験:5問
生活支援技術 5問

<試験結果>
試験結果は厚生労働省のホームページで順次発表

4-2 介護日本語評価試験

次に介護日本語評価試験に合格するための試験要項について見ていきましょう。 介護日本語評価試験の問題数や試験時間、試験の内容などは、以下のように発表されています。

<試験科目>

介護の言葉 5問
介護の会話・声掛け 5問
介護の文書 5問

合格基準:問題の総得点の60%以上

<試験結果>
試験結果は厚生労働省のホームページで順次発表

4-3 介護の特定技能試験に最短で合格する方法

介護特定技能試験の合格率は約60%であり、他業種の方でも真剣に勉強すれば通る資格です。 介護の特定技能試験に合格するための一番の近道は「介護特定技能試験テキストを繰り返し勉強する」といいでしょう。 テキストは無料で公開されており、試験に沿った内容が記載されています。 また、テキストは10か国(日本語・英語・ネパール語・インドネシア語・ミャンマー語・モンゴル語・タイ語 ・ベトナム語・中国語・ビルマ語)に対応しており、母国語での受験が可能です。 日本語のテキストでも多くの漢字にフリガナが振られているため、わかりやすいのが特徴。 下記は日本語の介護特定技能試験テキストになりますので、参考にしてください。他の言語は厚生労働省のホームページからダウンロードできます。

介護特定技能試験テキスト

5.他業種の技能実習生が介護特定技能資格を取得するメリット

他業種の技能実習生が介護特定技能資格の取得を目指すのは時代に合った試みです。 ここからは具体的な取得メリットを紹介していきます。

<世界に誇る日本の介護技術を習得できる>
他業種の技能実習生が介護特定技能資格を取得する最大のメリットは、 世界に誇る日本の介護技術を習得できる点です。 現在は全世界に日本の介護学校が設立されている背景からも、日本の介護技術が注目されています。 特に日本のきめ細かな気配りやコミュニケーションスキルは世界にはまねできない技術でしょう。 日本に介護を学びにくる外国人も年々増しており、日本の介護を学ぶのは自分を成長させる一歩となります。 外国人にとっていつ母国に帰るかはわかりません。帰国したと同時に親の介護が必要になるケースもあるでしょう。 その場合、日本の介護技術を学んでいれば、大いに貢献できます。世界に誇る日本の介護技術を習得できるのは、 介護特定技能資格を取得する最大のメリットです。

<時間の融通が利きやすい>
他業種の技能実習生が介護特定技能資格を取得する二つ目のメリットは、時間の融通が利きやすいです。一般的な会社は平日9:00~18:00勤務となりますが、介護職はシフト制が一般的。平日に休日が取れたり午前中だけ休暇をもらえたりできます。中には週休3日制を採用している介護事業者もあります。 特に外国人は日本語学習などで自分の時間を作りたい方も多いのではないでしょうか。他にもプライベートで日本の至る場所へ遊びいきたい方もいるはず。介護職はプライベートも充実させやすい職業なのです。

<資格を取得すれば働き方の幅が広がる>
他業種の技能実習生が介護特定技能資格を取得する最後のメリットは、資格を取得すれば働き方の幅が広がる点です。介護職の国家資格でもある「介護福祉士」の資格を取得できれば活躍の場が広がります。日本や海外問わず転職先が見つかりやすいのは自信につながるでしょう。手に職をつけるのは一生分の価値があるので、介護職を極めるのは今後おおいに役立つはずです。

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は他業種の技能実習生が介護特定技能資格を取得する方法を中心に徹底解説しました。 他業種の技能実習生が介護分野で活躍するには、技能実習2号を良好に修了した上で、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の2つの試験に合格することが必要です。該当条件を満たすためにも、まずは約3年日本での勤務を行いましょう。その上で、厚生労働省が提供している無料テキストを勉強して試験に合格できれば、他業種の技能実習生が介護職の特定技能資格を取得することができます。 外国人が魅力的な日本の介護分野で働くためにも、また介護事業者が深刻な人材不足を解決させるためにも、あらためて本記事を参考にしていただければ幸いです。

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