技能実習「惣菜」|外国人を惣菜製造業で雇用するには?

技能実習「惣菜製造業」で外国人を雇用する方法・食品製造「惣菜」で雇用するメリット・デメリット、技能実習1号・2号・3号の業務をそれぞれ解説します。

技能実習「惣菜」|外国人を惣菜製造業で雇用するには?

目次

  1. 2015年より技能実習制度に「惣菜」が追加
  2. 食品製造「惣菜」で技能実習生を雇用する方法
  3. 食品製造「惣菜」で技能実習生を雇用するメリット
  4. 食品製造「惣菜」で技能実習生を雇用するデメリット
  5. さいごに

「食品製造業の『惣菜』で技能実習生を受け入れをしたいけど、なにか条件はあるの?」など、食品製造業の惣菜部門での技能実習生について気になる方も多いのではないでしょうか。
実際、日本の食品製造業において確かな惣菜加工技術を学び、自国の技術発展への貢献を目的に惣菜部門で多数の外国人が働いているのも事実。

そのため、惣菜部門での技能実習生雇用について知れば、業務がより効率的にまわるかもしれません。
この記事では、食品製造業の惣菜部門での技能実習生雇用を中心に解説していきます。

2015年より技能実習制度に「惣菜」が追加

現在は外国人労働者の姿を目にする機会が以前と比べて格段に増えてきました。
食品製造業の惣菜部門においても例外ではなく、スーパーなどで調理場を覗くと外国人が真剣に働いています。

それもそのはず。食品製造業では2015年に厚生労働省より「惣菜製造業」が正式に追加されました
企業の労働力確保と同時に、人材送り出し国の食品製造における加工技術の発展に貢献する理由から技能実習制度に惣菜部門が新たに加わったのです。

食品製造「惣菜」で技能実習生を雇用する方法

惣菜製造業において、やみくもに技能実習生を雇用できるかと言われればそうではありません。
実は、雇用の為には技能実習1~3号別に審査基準が設けられ、基準を満たしてはじめて採用が可能になります
そのため、雇用を希望する企業は審査基準を把握しておく必要があるのです。

実際に技能実習1~3号別の審査基準について見ていきますが、その前に技能実習1~3号について簡単に解説していきます。

技能実習1~3号とは?

技能実習1号

技能実習1号は日本の技術を学ぶために来日した外国人の中でも、入国1年目に該当する外国人を指します。
実習可能な対象職種の制限がなく、幅広く実習可能な点も特徴的。

また、技能実習1号の実習期間は原則1年ではありますが、期間満了前の対象試験に合格すれば技能実習2号の在留資格が得られます。

技能実習2号

技能実習2号は実習2、3年目に該当する外国人であり、技能実習1号で学んだ知識を更に磨いてスキルアップを目指す資格です。
実習2、3年目は日本文化にも慣れてきて、より実習に集中できる環境が整います。技能実習生が大きく成長する時期でもありますので、雇用企業は指導にさらなる力を入れていくといいでしょう。

また、3年の実習期間が終了すると一旦帰国した後、技能実習3号への実技試験があります。
技能実習2号への試験同様、対象試験に合格すれば技能実習3の在留資格が得られるのです。

技能実習3号

技能実習3号は4、5年目に該当する外国人であり、技能実習3号へのハイレベルな実技試験に合格したものを指します。

また、監理団体及び実習実施者による一定の明確な条件を満たし優良であると認められた外国人が対象です。
4年目に突入すると日本語も流ちょうに話せ、企業の戦力として欠かせない存在になっている外国人も多いのではないでしょうか。
上手く活用して企業の売上に貢献してもらう会社も多いです。

技能実習は最長5年の為、技能実習3号で終了となります。

以下、技能実習1~3号を雇用するための必須業務です。

技能実習1号

①下処理作業

  • 1. 食材の選別及び
  • 2. 食材の皮むき及びカット作業

②調理作業1・2の双方、又はいずれかを標準作業書どおりに行う。

1. 加熱調理

(炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸す全て又は1つ以上の調理を行う。なお、これらの複数の調理を組み合わせて行うことも可能とする。)

  • 1-1. 食材(下処理済)の準備作業
  • 1-2. 大量製造用調理機械・器具等の準備・運転操作作業
  • 1-3. 調理及び加熱温度測定作
2. 非加熱調理(合える(和える))
  • 2-1. 食材の計量作業
  • 2-2. 大量製造用調理機械・器具等の準備・運転操作作業
  • 2-3. 調理状態確認作業

③衛生管理作業

  • 1. 作業着、マスク、手袋、帽子、毛髪等の付着物点検作業
  • 2. 洗浄、消毒及び殺菌作業

技能実習2号

①下処理作業

  • 1. 食材の選別及び
  • 2. 食材の皮むき及びカット作業

②調理作業1・2の双方、又はいずれかを標準作業書どおりに行う。

1. 加熱調理

(炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸す全て又は1つ以上の調理を行う。なお、これらの複数の調理を組み合わせて行うことも可能とする。)

  • 1-1. 食材(下処理済)の準備作業
  • 1-2. 大量製造用調理機械・器具等の準備・運転操作作業
  • 1-3. 調理及び加熱温度測定作業
  • 1-4. 品質管理基準に沿ったHACCPシステムにもとづく温度管理作業
  • 1-5. 調理製品の確認作業
2. 非加熱調理(合える(和える))
  • 2-1. 食材の計量作業
  • 2-2. 大量製造用調理機械・器具等の準備・運転操作作業
  • 2-3. 調理状態確認作業
  • 2-4. 殺菌、洗浄、水切り作業
  • 2-5. 成型及び整え作業
  • 2-6. 品質管理基準に沿ったHACCPシステムにもとづく温度管理作業

③衛生管理作業

  • 1. 作業着、マスク、手袋、帽子、毛髪等の付着物点検作業
  • 2. 洗浄、消毒及び殺菌作業

技能実習3号

①下処理作業

  • 1. 食材の選別及び
  • 2. 食材の皮むき及びカット作業

②調理作業1・2の双方、又はいずれかを標準作業書どおりに行う。

1. 加熱調理

(炊く、茹でる、揚げる、炒める、煮る、焼く、蒸す全て又は1つ以上の調理を行う。なお、これらの複数の調理を組み合わせて行うことも可能とする。)

  • 1-1. 食材(下処理済)の準備作業
  • 1-2. 大量製造用調理機械・器具等の準備・運転操作作業
  • 1-3. 調理及び加熱温度測定作業
  • 1-4. 品質管理基準に沿ったHACCPシステムにもとづく温度管理作業
  • 1-5. 調理製品の確認作業
  • 1-6. 上記 1-4に関する品質管理基準に沿ったHACCPシステムに基づく基準逸脱是正措置(※)作業
  • 1-7. 上記 1-1~1-5に係る指導
2. 非加熱調理(合える(和える))
  • 2-1. 食材の計量作業
  • 2-2. 大量製造用調理機械・器具等の準備・運転操作作業
  • 2-3. 調理状態確認作業
  • 2-4. 殺菌、洗浄、水切り作業
  • 2-5. 成型及び整え作業
  • 2-6. 品質管理基準に沿ったHACCPシステムにもとづく温度管理作業
  • 2-7. 上記 2-6に関する品質管理基準に沿ったHACCPシステムに基づく基準逸脱是正措置(※)作業
  • 2-8. 上記 2-1~2-6に係る指導

※是正措置とは、品質管理基準に満たない製品に仕上がった場合に、是正マニュアルに示された改善の微調整(是正措置)の判断をし、品質管理基準を満たす製品に仕上げるように調整する作業のことをいう(是正マニュアルとは是正措置を行なう範囲を示すもので、標準作業書とは異なる)。

③衛生管理作業

  • 1. 作業着、マスク、手袋、帽子、毛髪等の付着物点検作業
  • 2. 洗浄、消毒及び殺菌作業
  • 3. 上記 1、2に係る指導

安全衛生作業

安全衛生作業は技能実習1~3号すべてに該当します
各作業は以下になります。

①安全衛生

  1. 雇入れ時等の安全衛生教育
  2. 作業開始前の安全確認
  3. 惣菜製造業職種に必要な整理整頓
  4. 惣菜製造業職種の調理用機械設備等及び周囲の安全確認
  5. 衛生保護着等の着用と服装の安全点検
  6. 安全装置の使用等による安全な作業
  7. 労働衛生上の有害性を防止するための作業
  8. 異常時の応急措置を修得するための作業
  9. 惣菜加工作業における事故・疾病予防に係る安全衛生

②食品衛生

  1. 作業者の衛生管理
  2. 調理器具の衛生維持
  3. 製造用機器等の衛生維持
  4. 作業終了時の作業場の清掃等による衛生維持

上記、基本的な作業となるため、多くの企業はクリアできる基準となります。そのため、積極的に技能実習生の雇用に踏み切ってもいいでしょう。

食品製造「惣菜」で技能実習生を雇用するメリット

食品製造の惣菜において技能実習生が就労するメリットは、企業にも実習生にもメリットがあります。
企業側の最大のメリットは人材の確保です。

例えば、スーパーの総菜部は離職率が高く、人材が定着しにくいのが特徴。女性比率が高く、結婚や出産で離職を余儀なくされる方が多いのも理由の一つと言えるでしょう。
技能実習生であれば、上手くいけば長期雇用が見込め、総菜部の根幹を担える素材に成長が見込めます。

また、技能実習生にとっても、世界が誇る日本の総菜加工技術を自国に持ち込めるメリットがあるのです。
学んだ技術を最大限に活かせれば、会社に貢献できるだけでなく仕事の幅が広がっていきます。

以上のように、食品製造の惣菜において技能実習生が就労するのはメリットが多く、雇用する価値が十分にあるのです。

食品製造「惣菜」で技能実習生を雇用するデメリット

一方で、デメリットも存在します。

1つ目に技能実習生は惣菜製造業の技能実習評価試験(初級・専門級・上級)に合格する必要があります
試験は学科試験と実技試験の2つの構成となっており、両方の合格が必要となります。
不合格となった場合、一度だけ再試験を受けることができますが、再試験も不合格だった場合、再々受験はできません。
しかし、合格基準は決して高いわけではないため、十分に準備をしておけば問題ありません。

2つ目は追加されてまだ間もない制度であるため、制度の内容が変更する可能性が非常に高いです。
直近では2021年6月1日に食品衛生法に基づく営業許可制度が新しくなったため、惣菜製造業種の審査基準が変更されています。
また、制度に関する情報やノウハウもまだ多くないため、常に最新の情報を収集する必要があります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。
今回は惣菜製造業における技能実習生の雇用方法について徹底解説しました。

食品製造業では日本の食品製造における加工技術の発展を目的に、2015年に厚生労働省より「惣菜製造業」が正式に追加されました。
雇用方法は技能実習1~3号別に審査基準が設けられ、それぞれ項目をクリアすれば雇用が認められます。
技能実習生は育成次第では長期雇用が見込め、総菜部の根幹を担える素材に成長が見込めるのです。

また、技能実習生にとっても、世界が誇る日本の総菜加工技術を自国に持ち込めるメリットがあり、企業・技能実習生双方に利点があります。
本記事をあらためて参考にし、総菜製造業で技能実習生の雇用を検討していきましょう。

出典
惣菜製造業職種(惣菜加工作業)
OTAFF 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構 惣菜製造業技能評価試験

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