介護特定技能外国人|業務内容,賃金,介護報酬上の配置基準算定は?

介護特定技能外国人の受入れ状況・運用方針で定められている業務内容・賃金水準・特定技能外国人の日本人と面接する時との違い・介護報酬上の配置基準算定について解説します。

介護特定技能外国人|業務内容,賃金,介護報酬上の配置基準算定は?

65歳以上の高齢者人口が2025年には全体の30%を超えるとされる「2025年問題」。
国内の労働者不足や社会保障費の増加など、将来起こりうる問題は枚挙にいとまがありません。
特に介護分野においては、以前から人材不足が叫ばれています。

介護施設を運営される皆さまにおいては、特定技能制度の活用を検討されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に外国人雇用となると、慣れていない方にとって不安がついて回ると思われます。

本記事では、特定技能外国人を雇用した場合に任せられる業務内容や、支払うべき賃金水準、また介護報酬上での取扱いについて説明いたします。
実際に雇用した場合について、わかりやすくイメージできる内容になっていますので、ぜひご一読ください。

目次

  1. 介護特定技能外国人の受入れ状況について
  2. 介護特定技能外国人の業務内容とは?
  3. 介護特定技能外国人の賃金水準は?
  4. 介護特定技能外国人の介護報酬上の配置基準の算定は?
  5. さいごに

介護特定技能外国人の受入れ状況について

厚生労働省によると、2021年4月時点における介護関係職種の有効求人倍率は3.37倍。全業種平均の有効求人倍率が1.09倍であることを踏まえると、介護業界全体が圧倒的に人手不足であることがわかります。

また実態調査によると、介護職員のうち35.5%が人材不足であると感じています。
人材が不足する理由として、特に採用の困難さが挙げられています。
こうした介護分野における採用課題に対する解決の糸口として、2019年4月から特定技能制度が開始されました。

しかし2021年3月末時点、介護分野における特定技能1号外国人の在留数は1,705人です。制度開始から5年間における受入れ上限60,000人に対し、進捗は芳しくありません。

新型コロナウイルス感染拡大の影響があることは否めません。
しかしその他にも、制度に対する不安が皆さまの根底にはあるのではないでしょうか。

ここで、国内における外国人雇用の評判はどうでしょうか。
厚生労働省の調査では、すでに外国人介護職員を雇用している施設のうち、今後も外国人を受入れる予定であると回答した施設は78.9%にのぼります。
また外国人介護職員のサービスに対して、利用者や利用者家族のうち65.1%の方が満足と答えています。

このように、外国人職員は施設側、利用者側の双方から高い評価を受けています。
制度が複雑で難しそうだと感じるかもしれませんが、本記事が皆さまの助けとなれば幸いです。

次項からは、外国人を採用した場合に気になる点について触れていきます。

介護特定技能外国人の業務内容とは?

第一に、雇用した外国人にはどこまでの業務を任せることができるのでしょうか。
公的な制度ですので、禁止や罰則事項が多いのではと心配になるかもしれません。
特定技能制度の介護分野運用方針では、外国人の業務内容は主に次の通りと定められています。

身体介護

利用者の心身の状況に応じた入浴、食事、排せつ、整容・衣服着脱、移動の介助など

身体介護に付随する支援業務

レクリエーションの実施、機能訓練の補助など

その他関連業務

上記業務に従事する日本人が通常従事することになる関連業務
例:お知らせなどの掲示物管理、物品の補充や管理など

なお、訪問系サービスは業務に含めることができません。
そもそも訪問系サービス施設は特定技能制度の対象外となっているため、注意が必要です。
また、あくまで身体介護が主な業務となるため、その他関連業務が専らの業務となることも認められていません。

身体介護をメイン業務として、これに付随する作業であれば、日本人と遜色ない業務範囲であると把握しておきましょう。

介護特定技能外国人の賃金水準は?

採用する皆さまにとって、賃金水準は非常に気になるところかと思います。
結論、特定技能外国人の給与は日本人と同等以上であることが必要です。

なぜなら、特定技能外国人は即戦力であるからです。
特定技能制度で雇用できる外国人は、技能実習2号を良好に修了した方、または日本語試験と介護技能評価試験を合格した方になります。このため、すぐに働けるだけの技能があるとみなされます。

外国人、日本人と関係なく、同等の業務を行っているのであれば賃金も同等になります。
外国人は低賃金で雇用できる」という認識は誤りですので、注意してください。

また特定技能外国人を雇用する際の条件として、適切な雇用契約を結ぶことが必須となっています。適切な雇用契約とは主に次のとおりです。

  • 日本人と同等以上の給与を支払うこと
  • 日本人と同等の労働時間であること
  • 福利厚生などの待遇に差別的な取扱いをしないこと
  • 一時帰国を希望した場合、休暇取得を許可すること
  • 契約終了の際は帰国費用を代弁すること(外国人が負担できない場合)
  • 外国人の健康や生活状況を把握すること など

賃金だけでなく、福利厚生などについても日本人と同じものを用意しなくてはなりません。
施設側と外国人側、双方が気持ちよく仕事できるような体制を整えることが大切です。

介護特定技能外国人の介護報酬上の配置基準の算定は?

配置基準の算定方法については、介護報酬に関わるため関心が高いと思われます。
結論、特定技能外国人については勤務初日から配置基準に算定されます。
この理由は「3.介護特定技能外国人の賃金水準は?」でも触れましたが、特定技能外国人は技能実習3年修了と同等の技能を有していると判断されるためです。
初日から実務を遂行できる人材として認められているため、配置基準についても算定対象に含まれます。
実習当初の6ヶ月が配置基準に算定されない技能実習生とは異なりますので、ご安心ください。

ただし1点ご注意いただきたいことがあります。
勤務開始から配置基準に算定されますが、一定期間は外国人職員に対するケアが必要である点です。
具体的には、日本人職員とチームでサポートするなど、施設に順応する手助けが要されます。
技能を認められ即戦力であるとはいえ、異国の地での勤務にはじめは戸惑うことがあるでしょう。文化や言語の違いから、母国の経験とは異なる点が多いかもしれません。
このため、就労から一定期間はチームで支援できる体制を整えておきましょう。

利用者に対するケアの安全性を確保する観点からも、適切なサポート体制をとることが必要となります。

さいごに

本記事では、介護施設において特定技能外国人を採用した場合の業務内容や賃金、配置基準について説明いたしました。ポイントは以下の通りです。

  • 業務内容は身体介護などだけでなく、備品管理など関連業務も含まれる
  • 賃金や福利厚生といった雇用条件は日本人と同等以上とする
  • 配置基準については勤務初日から算定が可能
  • 就労から一定期間はチームでサポートする必要あり

いかがでしたでしょうか。
実際に外国人を雇用されたことがない皆さまにとっては、手続きや体制構築など大変なことばかりだと感じるかもしれません。
一方で、依頼できる業務の幅広さや配置基準算定など安心する要素もあったのではないかと思います。

すでに外国人職員を雇用している施設では、外国人職員に対して次のような評価の声が上がっています。「日本人と異なり先入観なくシンプルな視点で物事を見ることができる」、「まじめでひたむきに業務を行い、周りの日本人スタッフが感化されている」。
また外国人が管理職として現場を統括するなど、リーダーとして活躍をしている例も多くあります。

外国人の方々が活躍できるかどうかは、受入れる施設の体制次第です。

弊社スリーイーホールディングスは特定技能外国人の登録支援機関として認定されており、受入れ支援についての豊富な経験と実績があります。
外国人雇用に際し支援体制に不安があるなど、ご相談がございましたらぜひ下記問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

皆さまの益々のご健勝を祈念しております。

出典
厚生労働省 一般職業紹介状況(令和3年5月分)参考統計表
厚生労働省 介護分野の現状等について
法務省 出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数(令和3年3月末現在)」
厚生労働省 介護分野における特定技能について
法務省・厚生労働省 特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領
法務省 出入国在留管理庁『在留資格「特定技能」について』
三菱 UFJ リサーチ&コンサルティング株式会社 特定技能外国人の受入れに関する介護事業者向けガイドブック

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